愛言葉(あいことば)について調べている人の入り口は、だいたい二通りある。ひとつは広告や案内メールから登録してしまい、あとで名前を検索した人。もうひとつは、まだ登録しておらず、名前で先に検索している人だ。前者のほうが圧倒的に多い。
この記事は口コミの引用合戦をしない。運営側が自分の名前で公開している文書――特定商取引法に基づく表記と利用規約――を読み、そこに書いてあることだけを並べる。そのうえで、調べている途中でひとつ、想定していなかったものが出てきた。愛言葉の利用規約は、まったく別の会社が運営している別サービスの規約と、文章としてほぼ同じだった。その話が記事の中心になる。
一次情報:掲示されているものをそのまま並べる
まず感想を挟まずに、サイト内の掲示を書き出す。ここに書いたものは、すべて愛言葉のサイトから直接読めるものだ。
| サービス名 | 愛言葉(あいことば) |
|---|---|
| ドメイン | aikotoba2020.com |
| 販売業者 | 合同会社ラインワーク |
| 運営責任者 | 吉野 幸 |
| 所在地 | 大阪市中央区博労町(丁目・番地まで掲示あり) |
| 連絡先 | メールアドレスと固定電話番号を掲示。電話は平日の日中帯のみ |
| 異性紹介事業の届出 | 大阪府南警察署を経由した届出として受理番号を掲示(62240007001) |
| 電気通信事業 | 届出番号を掲示(E-06-05287) |
| 課金方式 | ポイント制。前払い。購入パックが段階的に用意されている |
| ポイント有効期限 | 購入から六か月。以降は消失すると明記 |
| 返金 | 提供サービスの特性上、返品・返金には応じないと明記 |
| 決済手段 | クレジットカード、電子マネー系決済、後払い決済 |
| 決済代行 | 香港とロンドンに所在地を持つ二社の名称を掲示 |
掲示の量としては、名前・責任者・住所・電話・届出番号がそろっている。ここを隠しているサイトに比べれば情報は出ているほうだ。ただ、この記事で見たいのは掲示の量ではなく、掲示の中身が何を語っているかのほうにある。
見つけたこと:規約が別会社のサービスと九割以上一致していた
やったこと:愛言葉の利用規約全文と、別の運営会社が提供している登録型サービスの利用規約全文を、それぞれ空白を除いたうえで二十五文字単位に刻み、どれだけ同じ断片を共有しているかを数えた。結果は九割強の一致だった。条文の並び、条番号、言い回し、句読点の位置まで揃っている。違うのは、社名とサービス名と、退会申請の宛先メールアドレスくらいだった。
比較対象にしたのは、大阪に所在地を置く別法人が運営している登録型サービスだ。愛言葉の運営は合同会社、比較先の運営は株式会社で、代表者も住所も異なる。つまり資本関係を示す情報は表からは読み取れない。それでも規約の文面はほぼ同一だった。
これが意味しないこと
先に否定側から書く。規約の雛形が同じであること自体は、違法でもなければ珍しくもない。この業界に限らず、規約というのは弁護士事務所や制作会社が持っている雛形を各社が買って埋める形で作られることが多い。同じ制作会社にサイトを発注すれば、規約も同じものが付いてくる。だから「同じ規約だから同じ運営者だ」とは言えないし、この記事ではそう言わない。
それでも情報として意味があること
意味があるのは、利用者側が受け取る印象との落差だ。登録画面まで進むと、どのサービスも「うちは他とは違う」という顔をしている。匿名性、監視体制、独自のマッチング。ところが根っこの契約条件は、隣のサービスと同じ紙で書かれている。ここから読み取れるのは、こうしたサービスが個別に設計された事業というより、同じ型を使い回して量産できる形になっている、ということだ。
それが分かると、判断の仕方が変わる。名前を一つずつ検索して評判を集める作業には終わりがない。名前は増え続けるからだ。代わりに「型」を覚えれば、初めて見る名前でも十分程度で位置づけられる。同じ型に属するサービスの読み方はLINE登録型の出会いを確認する順序をまとめた記事に整理してある。個別の照合をやった実例としてはダイレクトマッチの掲示を照合した記事が近い。
共有されている条文のうち、利用者に効くもの
雛形が共通ということは、利用者に不利に働く条文も共通ということになる。実際に効くのは次の三つだった。
三つ目は覚えておくと使える。相手から金銭に関する話が出た時点で、それは規約違反として運営に報告できる材料になる。応じるかどうかを迷う場面ではないし、迷っている時間そのものがポイントを消費する。この種のやり取りの見分け方はサクラや業者の見分け方をまとめた記事で細かく分けている。
お金の設計:階段の一番上がどこにあるか
ポイントの購入パックは段階的に用意されている。一番小さいパックは千円台から始まり、一番大きいパックは十万円ぶんまで用意されている。ここで見るべきは最小額ではなく最大額のほうだ。
販売パックの上限は、事業者がどこまでの支出を想定して設計したかを表している。上限が十万円ぶんに置かれているということは、その規模まで積む利用者が存在する前提で作られているということだ。良い悪いの話ではなく、そういう設計になっていると読み取れる、という話にすぎない。ただ、「ちょっと試すだけ」と思って入る人と、設計側が見ている射程には、かなりの開きがある。
クレジット決済が米ドル建てになる場合がある
特定商取引法の表記には、一部のクレジット決済が米ドル建てになる旨と、為替相場の変動や手数料によって請求額が申し込み額と最大で一割程度ずれる場合がある旨が書かれている。これは重要な情報で、しかも書いてあること自体は誠実だ。隠していない。
ただ利用者から見ると、確定した金額を払ったつもりが、明細では違う数字になっている可能性があるということになる。しかも決済代行として掲示されているのは、香港とロンドンに所在地を持つ二社の名称だ。国内向けのサービスで海外の決済代行を通すこと自体は珍しくないが、明細に見慣れない英語の社名が並ぶ理由がここにあると分かっていれば、身に覚えのない請求だと慌てずに済む。
後払いを選ぶかどうかで痛みの出方が変わる
後払い決済も選べる。締めた分が翌月に請求書として届く形だ。支払い方法によっては毎月の請求ごとに手数料が加算されるとも書かれている。
ここで一点、読み手が混乱しうる箇所がある。利用規約には、有料サービスの利用に際して利子・事務手数料・延滞金などの名目で追加徴収を行うことは一切ない、という趣旨の記載がある。一方で特定商取引法の表記には、後払いを選んだ場合の手数料の話が具体的に書かれている。片方は運営が徴収しないという意味で、もう片方は決済事業者側で発生するという意味だと整理すれば矛盾はしない。しかし、規約だけを読んで「手数料はかからない」と理解する人は出る。掲示を二か所とも読まないと正確な像にならない、というのが実際のところだ。
ポイント制そのものの仕組みと、どこでお金が減るのかという構造は出会い系の料金とポイント制を整理した記事にまとめてある。
掲示の鮮度:何年前の文章が残っているか
特定商取引法の表記の中に、電話対応について「新型コロナウイルス対策の一環として最小人員で業務を行っているため、時間帯によってはつながりにくい」という趣旨の説明が残っている。
この一文が示すのは、その説明を書いた時期から現在まで、掲示が見直されていないということだ。連絡先の運用に関する説明は、トラブル時に利用者が事業者へ到達するための情報にあたる。そこが何年も前の状況説明のまま置かれている。住所や社名が書かれていても、書かれた内容が現在の運用を反映していなければ、到達性の情報としては弱い。
これは減点材料ではあるが、「危険だ」と叫ぶほどのものではない。小規模な運営で更新の手が回っていないだけ、という説明も十分に成り立つ。判断としては、「問い合わせの一次窓口として電話をあてにしない」という実務上の結論に落とし込めば足りる。急ぐならメールなり問い合わせフォームなり、記録が残る手段を使うほうが確実だ。
登録の前に読める文言を、一行ずつ見る
トップページに並んでいる説明文は、登録しなくても読める。ここは判断材料として使えるので、目についた四つを取り上げて、何を約束していて何を約束していないのかを分けておく。
「登録とお相手検索は無料」
これは正確な表現だ。無料なのは登録と検索であって、やり取りではない。ポイントが減り始めるのはメッセージの送受信からになる。無料という語がどこに掛かっているかを読み違えると、後で話が違うと感じることになるが、書いてあること自体は正しい。
「あなたの近所のメンバーが自動的に表示されます」
近所という語は、位置情報の精度によって意味が変わる。市区町村単位で表示されるのか、もっと粗い単位なのかは、この一文からは分からない。実際に登録して表示された相手が、こちらの生活圏の駅名や地名に具体的に言及できるかどうかで確かめるしかない。表示上の距離と、会える距離は別物だと考えておくのが無難だ。
「参加したその瞬間からメッセージが送信可能」
速さを売りにする文言だが、利用者側から見ると、判断する時間が短くなるという意味でもある。登録直後にメッセージが届き、その場で返す流れになると、掲示を読み返す機会は失われる。だからこそ、掲示は登録の前に読んでおく価値がある。順序を逆にすると読まないまま進むことになる。
「あなたの疑いを吹き飛ばす人気ぶり」
この一文は、疑いを情報で解消するのではなく、参加して体験することで解消してほしい、という誘導になっている。疑っている人に対して「まず入ってみてください」と促す構図は、この業界では珍しくない。ただ、疑いを解消する材料は、参加する前に読める場所――特定商取引法の表記と規約――のほうに具体的な形で置かれている。順番を入れ替える理由は特に無い。
あわせて、二十四時間三百六十五日の監視体制、未成年は利用できないこと、こちらのアカウント名や本名が相手に公開されないことも掲示されている。このうち後ろの二つについては、次の節で中身を分けておく。
「匿名だから安心」という売り文句を、どこまで受け取るか
登録画面の周辺には、匿名でやり取りできること、こちらのアカウント名や本名が相手に公開されないこと、二十四時間の監視体制があることが並べて書かれている。
匿名性の中身を分解する
ここで言う匿名性は、相手に対して本名やアカウント名が見えない、という意味だ。運営に対しての匿名ではない。年齢確認では身分証の画像を提出することになるし、決済をすればカード情報や請求先の情報が事業者側に渡る。つまり「相手からは見えない」と「誰からも見えない」は違う。多くの人が不安に思っているのは前者だろうから、その意味では説明は嘘ではない。ただ、後者だと受け取ると認識がずれる。
監視体制と免責は両立する
監視をしているという説明と、規約で実在性を保証しないという記載は、矛盾しているようで矛盾していない。監視は不適切な書き込みを消すための運用であって、やり取りの相手が誰かを保証する仕組みではないからだ。この二つを混ぜて読むと「監視しているなら相手は本物だろう」という誤読が生まれる。書かれていることを、書かれている範囲で受け取るのがいい。
なりすましや写真の流用がどう起きるかについてはロマンスのなりすまし確認手順をまとめた記事のほうが具体的だ。
退会:ポイントを残したまま辞められるか
退会は、運営のメールアドレス宛に申請を送る形と規定されている。あわせて、退会するとその時点で保有しているポイントはすべて削除されるとも書かれている。返金は行われない。
この二つが組み合わさると、辞めたい人ほど辞めにくくなる。残高がある状態で退会すれば残りは消える。だから「使い切ってから辞めよう」と考える。使い切るためにやり取りを続ける。続けているうちに残高が心もとなくなり、また買う。この輪から出る方法はひとつしかなくて、残高を捨てる決断を先にすることだ。
実務的な助言をひとつ。登録した日に、退会の連絡先だけをメモアプリに控えておくといい。辞めたくなってから探すと、規約の中を探すことになる。そのときにはたいてい気力が落ちているので、面倒だという理由だけで先送りになる。ポケラブなど他の登録型サービスでも同じことが起きていて、ポケラブの評判と確認手順をまとめた記事でも同じ助言を書いた。
利用者の声(よくある声の再構成)
寄せられた声のうち、内容が重複するものをまとめ、個人が特定されない範囲に整えて掲載する。
登録する前に規約と特商法の表記を全部読むという発想がそもそも無かった。読んでみたら、保証していないことがはっきり書いてあったので、こちらも過剰な期待をしないで済んだ。無料で見られる範囲だけ触って、自分には合わないと判断して離れた。読む習慣がついたのが一番の収穫だと思っている。
夜勤が多いので、電話の受付が平日の昼だけというのは自分には使えない。問い合わせは全部メールにすると最初に決めておいたので、あとで困らなかった。連絡手段を先に決めておくというのは、この手のサービスを触るなら必須だと思う。
規約が他のサービスとほぼ同じという話が一番刺さった。名前で検索して評判を集める作業をずっとやっていたけれど、それだと終わらないと気づけた。今は名前ではなく、掲示の中身を見て判断するようにしている。時間の使い方が変わった。
クレジットの明細に知らない英語の社名が出て焦った。調べたら決済代行の名前で、表記にもちゃんと書いてあった。事前に知っていれば慌てなかったと思う。こういう細かいところを先に読んでおくのは大事だと実感した。
後払いは選ばないと最初に決めていた。今すぐ財布が痛まない支払い方だと自分は止まれないので。使う前に上限を紙に書いておくやり方は、他のことにも応用が利いている。結果的に決めた範囲を超えずに終われた。
退会の連絡先を登録した日に控えておく、という一点だけ実行した。実際に辞めるとき、探し回らずに済んだのでストレスが無かった。ポイントは少し残ったが、割り切って終わらせた。ずるずる続けるよりよほど良かったと思う。
よく聞かれることに、短く答える
結局、愛言葉はサクラなのか
公開情報の範囲で「サクラである」と断定できる材料は無い。あるのは、運営が利用者の実在性を保証しないと自ら明記している、という事実だけだ。断定を求めるより、その一文をどう受け取るかを自分で決めるほうが実務的だと考えている。
届出番号があるなら安全ということか
届出をしたという証明であって、運営が健全である証明ではない。番号が無いサイトより一段ましだ、という程度の重みで扱うのが妥当だ。番号の照会を厳密にやりたいなら、届出先の公安委員会に問い合わせる以外に確実な方法は無い。
規約が他社と同じなら同じ会社なのか
そうは言えない。規約の雛形は共有されるものだし、同じ制作会社に発注すれば同じ文面になる。読み取れるのは「個別に設計された事業というより、型を使い回せる形になっている」ということまでだ。
ブロックすれば退会したことになるのか
規約上の退会は、指定されたメールアドレス宛に申請を送る形になっている。連絡を絶っただけでは手続きとして完了しない扱いになりうるので、確実に終わらせたいなら文面を送るほうが早い。
請求額が申し込み額と違うのはなぜか
一部のクレジット決済が米ドル建てになる場合があり、為替と手数料で差が出ると表記に書かれている。差が出る旨は事前に掲示されているので、明細を見て驚く前に、その表記を確認しておくといい。
結び:名前を追うのをやめて、型を覚える
愛言葉は、社名・責任者・住所・連絡先・届出番号を掲示しており、その点では最低限を満たしている。一方で、利用規約は別会社が運営する別サービスの規約と九割強一致しており、契約条件の部分に独自性は見られなかった。加えて、実在性を保証しない免責、退会時のポイント消失と返金なし、米ドル建て決済による請求額のずれ、そして数年前の状況説明が残ったままの連絡先の掲示――この四点が、登録前に知っておくべき条件として揃っている。
危険だと叫ぶための記事ではない。判断に必要な材料は運営が自分で公開しているので、それを読んでから決めればいい、という話に尽きる。
- 特定商取引法の表記と利用規約を、登録の前に両方開く。片方だけでは像が歪む
- ポイントの有効期限と返金の可否を確認し、使い切れない前提で買う量を決める
- 決済は、痛みが遅れて来ない方式を選ぶ。後払いを避けるだけで歯止めになる
- 退会の連絡先を、登録した日のうちにメモに控える
- 相手から金銭の話が出たら、その時点で終わり。規約違反として報告できる
この型のサービスは、名前を変えて出てき続ける。だからひとつずつ評判を集める戦い方には終わりがない。掲示の読み方を覚えれば、初めて見る名前でも自分で結論を出せるようになる。この記事で一番持ち帰る価値があるのは、愛言葉という固有名詞ではなく、そちらのほうだ。
なお本文の記載は執筆時点で公開されていた表記に基づいている。掲示は予告なく更新されうるので、実際に登録する前には最新の表記を必ず自分の目で確認してほしい。もし更新されていたなら、それは点検されているという良い材料になる。

