「出会いナンバー1」の特定商取引法に基づく表示を開くと、運営の欄に書かれているのは三つだけです。役務の提供者は「出会いナンバー1運営チーム」、運営責任者は一人の人名、そして問い合わせ先のメールアドレス。会社の名前も、所在地も、電話番号も、そのページにはありません。
名前で検索すると、「サクラ」「詐欺」といった言葉の入った記事がいくつも出てきます。そうした評判が本当かどうかは、外からは確かめられません。この記事では、2026年10月9日に出会いナンバー1の公式サイトから読んだ三つの文書、つまり特定商取引法に基づく表示、利用規約、プライバシーポリシーだけを材料にします。サービスが自分をどう名乗り、何を約束し、何を約束していないのか。文書に書かれていることを、書かれている順に読んでいきます。
名乗っているのは「運営チーム」だけ
特定商取引法に基づく表示は、通信販売をする事業者が、自分が誰なのかを買う人に示すための表示です。消費者庁の特定商取引法ガイドでは、通信販売の広告に表示する事項として、事業者の氏名または名称、住所、電話番号が挙げられています。法人なら登記簿の上の名称を書く必要があり、通称や屋号、サイトの名前だけを書くことは認められない、とも説明されています。
出会いナンバー1の表示にあるのは、「出会いナンバー1運営チーム」という呼び名と、運営責任者の名前、メールアドレスです。住所と電話番号の欄そのものがありません。この表示が法律の求める形を満たしているかどうかを判断するのは、この記事の役目ではありません。ただ、消費者庁のガイドが挙げている三つの項目のうち、少なくとも住所と電話番号は、ページの上に見当たらない。それは誰が見ても同じ事実です。
文書の中で、運営の呼び方が揺れている
もう一つ、三つの文書を続けて読むと気づくことがあります。利用規約は運営のことを「本運営」と呼び、第1条で「出会いナンバー1運営チーム」がサービスを提供すると書いています。ところが、プライバシーポリシーは冒頭から「弊社では」と書き出し、最後まで「弊社」で通しています。弊社という言い方は会社が自分を指すときの言葉ですが、その会社の名前は、どの文書にも出てきません。
利用者の側から見ると、困るのは何かあったときです。返金を求めたい、退会したのにメールが止まらない、個人情報の扱いを確かめたい。そうしたとき、相手が誰で、どこにいて、どう連絡を取ればよいのか。表示から分かるのは、メールアドレスが一つだけ、ということになります。
規約は、出会うためのサービスではないと書いている
利用規約の第4条は、このサービスを次のように定義しています。オンライン上で、趣味や嗜好を同じくする人どうしが情報を交換し、会話したり、想像力を働かせたりすることで、娯楽としてメッセージの交換を楽しむためのソーシャルネットワークサービス。そして、利用者は、このサービスが「物理的な出会い等の為に相手をマッチングさせるサービスではない」ことを、あらかじめ確認して同意する、と書かれています。
名前に「出会い」と入っているサービスが、規約では出会いのためのサービスではないと定めている。トップページには「全員近所なので、すぐに会うことも可能です」という文があり、近所で気の合う相手を探せるとも書かれています。けれども、契約として効くのは規約の文のほうです。
禁止行為を並べた第7条には、さらに具体的な項目があります。第18号は「物理的な出会いおよび異性との交際、性交渉を主目的として本サービスを利用する行為」。第26号は「電話番号、メールアドレス、コミュニケーションアプリのID等の連絡先情報の掲載、送信」です。会うことを主な目的にした使い方も、連絡先の交換も、規約の上では禁止されています。違反した場合は、事前の通知なく利用停止や登録の取り消しができ、それで生じた損害に運営は責任を負わない、と同じ条にあります。
届出の番号は、どこにも書かれていない
出会いの場を提供する事業者は、出会い系サイト規制法にもとづいて公安委員会に届け出る必要があり、届け出た事業者の多くは、トップページや特定商取引法の表示に受理番号を書いています。出会いナンバー1の公式サイトのトップページ、特定商取引法に基づく表示、利用規約、プライバシーポリシーのどれにも、インターネット異性紹介事業の届出番号は見当たりませんでした。
規約が自らを「出会いのためのサービスではない、娯楽のためのSNS」と定めていることと、届出番号が書かれていないことは、同じ方向を向いています。運営は、このサービスを出会い系サイト規制法の対象となる出会いの場としては位置づけていない、と読めます。利用者の年齢についても、規約の第3条は登録できるのを18歳以上(高校生を除く)としていますが、身分証明書で年齢を確かめる手続きについての定めは、規約にもプライバシーポリシーにもありませんでした。
第12条13項:運営のスタッフが、相手をすることがある
利用規約の中で、利用者がいちばん読み飛ばしてはいけないのは、第12条の13項です。少し長くなりますが、要点をそのまま書き出します。
運営が、サービスの男女の比率を適正に保つため、不適切な利用者を監視するため、犯罪を防ぐため(青少年の保護)、または娯楽の提供を目的として、利用者の利用状況によっては、運営のスタッフがメッセージの送信などの方法で、会員の相手をすることがある。その場合でも、利用者は通常の利用料金を負担することにあらかじめ同意する。さらに、運営のスタッフが提供する情報は、こうした目的のためのものであり、真実でない、正確でない、現実でない、あるいは誇張や創造によるものでありうることに、利用者はあらかじめ同意する。
この条文が言っているのは、やりとりの相手が、運営のスタッフである場合があるということです。そして、そのスタッフが書く内容は、本当のことでなくてもよい、と利用者が先に認めることになっています。その相手とのやりとりにも、ポイントは通常どおりかかります。
この記事では、実際にどれだけのやりとりがスタッフによるものなのかは分かりませんし、そう断定するつもりもありません。登録して内部を確かめてはいないからです。ただ、登録するということは、この条文に同意するということです。メッセージをくれた相手が、会員なのか運営のスタッフなのかを、利用者が見分ける方法は、規約のどこにも書かれていません。
ポイントの決まり:買う前に知っておくこと
お金の決まりは、特定商取引法の表示と規約の第9条に分かれて書かれています。入会料、月額料、退会料はかからず、ポイントが必要なコンテンツを使うときだけポイントを買う仕組みです。どの操作に何ポイントかかるのかという料金表は、表示や規約には載っておらず、サイトの中の購入ページで示すとされています。登録する前に料金表を見ることはできない、ということです。
支払い方法は「電子マネー、クレジット他」とだけ書かれています。返品や返金は「いかなる場合も受け付けておりません」とあり、規約の第9条でも、ポイントの払い戻しはどんな場合も求められないと定めています。
有効期限は、買ったポイントが購入から半年以内、無料でもらったポイントは一定期間使わないと失効することがある、とされています。登録の取り消しや利用停止で会員の資格を失った場合は、使っていないポイントも消えます。そして第12条の14項には、最後にログインしてから最長3か月ログインがない場合、運営はアカウントを削除でき、その場合はポイントを含む一切の権利を放棄したことになる、という定めがあります。しばらく使わずに置いておくと、買ったポイントが半年を待たずに消えることもありうる、ということです。
規約の第9条には「会員ランクを導入しております」という一行もあります。ランクによって何が変わるのかは、規約には書かれていません。ポイントの使い方や購入の量によってランクが上がる仕組みなのか、それとも別の基準なのか。料金表と同じく、登録してサイトの中に入らなければ分からないことが多い作りです。買う前に分からないことが多いほど、最初に買う量は小さくしておくのが無難です。
やめ方は、規約に一行だけ
退会については、規約の第8条第4項に「会員は、本サービス上の本運営所定の方法により、自己の会員としての登録を取り消すことができます」とあります。具体的にどの画面からどう手続きするのかは、規約には書かれていません。メールで申し込む、といった方法も定められていません。
退会したあとの個人情報については、プライバシーポリシーが、問い合わせ対応などに必要な場合があるため、契約が終わったあと1年間保管する、と書いています。メールマガジンの止め方についての定めは見当たりませんでした。やめるときに困らないように、登録した日に、退会の画面がどこにあるかを確かめておくのが確実です。見つからなければ、その時点で問い合わせ先のメールに退会の方法を尋ね、返信を保存しておきましょう。
集める情報と、位置情報
プライバシーポリシーには、集める情報が細かく書かれています。アカウントを作るときの性別、ニックネーム、年齢(生年月日)、居住地、写真や動画。詳しいプロフィールとして身長、趣味、職業、空き時間。別の端末に引き継ぐときのメールアドレスとパスワード。使っている端末のハードウェアの情報やユーザーID。登録やログインの日時、送ったメッセージや写真、購入の履歴。そして、承諾した場合には、おおよその位置情報として緯度と経度を集める、とされています。
集めた利用の情報は、サービスの改善や新しいサービスの開発、マーケティングにも使うと書かれています。また、規約の第6条では、会員が送った文章や写真、画像について、運営が必要と判断した処置をしたうえで、運営と提携する第三者が利用できる、とも定めています。顔の写った写真や、自分だと分かる写真を送る前に、この一文は読んでおくべきでしょう。
監視すると書きながら、監視の義務は負わないとも書く
トップページには「24時間365日監視を行っております」とあり、規約の第10条も監視について定めています。監視人が常に監視していて、不適切な画像や文言を削除する。利用者は「通報」機能で知らせることができ、ブロック機能で相手を表示しないようにできる。不適切なコンテンツは掲載から24時間以内に削除する。ここまでは、利用者を守る側の約束です。
ところが、同じ規約の第12条6項には、運営は会員が登録・掲載・送信する情報を「監視・保存する義務を負いません」と書かれています。7項では、会員が送る情報の合法性、確実性、信頼性などについて一切責任を負わないとし、5項では、会員どうしのやりとりの内容にも責任を負わず、紛争は会員どうしで解決するものとしています。
監視はするが、監視する義務はない。この二つは、運営の判断で監視をしているが、それを約束として引き受けてはいない、と読むのが自然です。困ったことが起きたときに「監視しているはずなのに」と言っても、規約の上では運営に求められる根拠は弱い、ということになります。
やりとりの記録は、運営の都合で消える
第4条の4項には、利用者どうしのやりとりのログは、システムの都合で必要に応じて整理、つまり削除することがある、とあります。いつ、どれだけの期間で消えるのかは書かれていません。問い合わせや相談のときに、やりとりの記録が運営の側に残っているとは限らない、ということです。気になるやりとりや、お金に関わる画面は、その日のうちに自分の端末で保存しておくほうが確実です。
会員の側に課される、意外な二つの条文
規約の第8条2項は、会員が登録の取り消しなどの事由に当たった場合、運営に対して負っている債務の一切について「期限の利益を失い」、直ちにすべての債務を支払わなければならない、と定めています。期限の利益とは、支払いの期限が来るまでは払わなくてよい、という利用者の側の権利のことです。ポイントは前払いで買う仕組みだと表示にはありますが、規約には、会員が運営に債務を負う場面を想定した条文が置かれています。
第13条は秘密保持で、会員は運営から提供・開示を受けた秘密の情報を、運営の書面による承諾なしに第三者に漏らしてはならない、とされています。運営とのやりとりの中身を、どこまで人に話してよいのか。相談や通報のときに、この条文をどう読むかで迷う人もいるかもしれません。消費生活センターなど公的な窓口への相談まで妨げるものと読む必要はないと考えますが、気になる場合は窓口でこの条文を見せて相談してください。
事業が誰かに移ると、会員の情報も一緒に移る
規約の第14条2項は、運営がこのサービスの事業をほかの会社に譲った場合、利用契約の上の地位や、会員の登録事項、その他の顧客の情報を、譲り受けた相手に渡すことができ、会員はそれにあらかじめ同意する、と定めています。通常の事業譲渡だけでなく、会社分割など事業が移るあらゆる場合を含む、とも書かれています。
プライバシーポリシーの第1項にも、合併、他社による買収、資産の売却で事業を移す場合は、会員の承諾なく第三者に個人情報を開示することがある、とあります。運営の会社名が表示されていないサービスで、事業が移ったときに、情報がどこへ行ったのかを利用者が追うのは、さらに難しくなります。登録のときに入れる生年月日や居住地、写真が、どこまで先へ渡りうるかは、この二つの条文を読んだうえで考えておく必要があります。
裁判所は東京、けれど住所は書かれていない
規約の第15条は、運営と会員の間で訴訟が必要になった場合、第一審の専属的な管轄裁判所を東京地方裁判所としています。裁判をするなら東京で、という取り決めです。一方で、運営の所在地はどの文書にも書かれていません。相手の住所が分からなければ、訴えを起こすことも、内容証明の郵便を送ることも難しくなります。
返金や請求のトラブルで困ったときは、まず住んでいる地域の消費生活センターに相談するのが現実的です。消費者ホットライン(局番なしの188)にかければ、近くの窓口につながります。そのときに役立つのは、決済の明細と、やりとりの画面、そしてこの記事で触れた規約の条文の控えです。
同じ中身のサイトが、二つのドメインにある
出会いナンバー1の公式サイトは、wakayoyo.tokyo と wakabairo.net の二つのドメインで開けます。トップページ、特定商取引法に基づく表示、利用規約、プライバシーポリシーを同じ日に取得して比べると、四つとも同じ内容でした。問い合わせ先のメールアドレスは、どちらのサイトでも wakayoyo.tokyo のものです。ドメインの公開登録情報では、wakabairo.net の登録は2022年2月24日、wakayoyo.tokyo は2022年4月6日でした。
第三者のレビューサイトの中には、このサービスが以前は別の名前で運営されていたと記録しているものもあります。当サイトはその記録を独自には確かめていません。利用規約の最終更新日は2025年11月26日と書かれています。トップページの入口は、メールアドレスを登録して始める形でした。Google Play で名前を検索しても、同じ名前のアプリは見つかりませんでした。
文書を読み終えて、それでも登録するなら
出会いナンバー1の三つの文書を通して読むと、このサービスは自分を「出会いのための場」ではなく「娯楽としてメッセージを楽しむSNS」と定め、会うことを主な目的にした使い方と連絡先の交換を禁じ、運営のスタッフが相手をすることがあり、その内容は本当でなくてもよい、と利用者に同意を求めています。運営の会社の名前と所在地、電話番号は表示にありません。
これを読んだうえで、メッセージのやりとりそのものを娯楽として楽しむつもりで使うのか。それとも、実際に会える相手を探していて、その目的とは合わないと判断するのか。決めるのは、文書を読んだあなた自身です。少なくとも、名前に「出会い」とあることと、規約に書かれていることが同じではない、ということは知ってから決めてください。LINEやメールで始める出会いのサービスを、登録の前にどの順番で確かめればよいかは、七つのサービスを横断した確認の手順にまとめています。
本記事の内容は、出会いナンバー1の公式サイト(wakayoyo.tokyo・wakabairo.net のトップページ、特定商取引法に基づく表示、利用規約〔最終更新日 2025年11月26日〕、プライバシーポリシー)、消費者庁の特定商取引法ガイド、ドメインの公開登録情報を、2026年10月9日に確認したものです。サービスに登録して内部を確かめてはいないため、料金表、会員の数、やりとりの相手が誰かについては書いていません。表示や規約は予告なく変わることがあります。本記事は18歳以上の成人を対象にしています。


