ベッドの上で、相手がふざけてスマートフォンを向けてくる。あるいは自分のほうが、今夜のことを残しておきたいと思う。体の関係を続けている相手とのあいだで、写真や動画の話が出るのは珍しいことではありません。そのとき、多くの人は「相手がいいと言えば問題ない」と考えます。半分は正しく、半分は足りません。
撮ることに相手が同意していても、その画像を誰に見せるのか、どこに保存するのか、関係が終わったあとどうするのかで、法律の扱いはまったく変わります。そして、撮った画像をめぐるトラブルの相手としていちばん多いのは、見知らぬ他人ではなく、交際していた相手です。この記事は、恋人とは違う形で体の関係を続けている男性に向けて、撮る前・撮ったあと・関係が終わるときの三つの場面で、何を決めておけばいいかを、法律の条文と国の統計にもとづいて整理します。
トラブルの相手は「よく知っている人」
法務省の犯罪白書(令和7年版)によると、令和6年に警察に寄せられた私事性的画像、いわゆるリベンジポルノに関する相談は2,128件でした。前の年より17.4%増え、この問題を処罰する法律ができてから最も多い数です。
注目したいのは、被害を受けた人と、画像を使った側との関係です。いちばん多かったのは交際相手(元交際相手を含む)で1,047件、全体の49.2%でした。次が、インターネット上だけでつながっていた知人・友人で530件(24.9%)、インターネット上だけではない知人・友人が294件(13.8%)。配偶者(元配偶者を含む)は61件、職場の関係者は34件でした。
| 相手との関係 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 交際相手(元交際相手を含む) | 1,047 | 49.2% |
| 知人・友人(ネット上のみ) | 530 | 24.9% |
| 知人・友人(ネット上のみ以外) | 294 | 13.8% |
| 関係(行為者)不明 | 114 | 5.4% |
| 配偶者(元配偶者を含む) | 61 | 2.9% |
| 職場関係者 | 34 | 1.6% |
交際相手と、ネットだけでつながっていた知人を合わせると、7割を超えます。体の関係を持つほど近い相手であり、しかも関係が終わる可能性を最初から含んでいる。恋人でもなく、ただの知人でもない関係は、ちょうどこの二つの重なるところにあります。撮った画像をめぐる問題は、自分には関係のない遠い話ではありません。
もちろん、相談の多くは、画像を拡散された側、つまり撮られた側からのものです。読んでいるあなたが画像を悪用するつもりがないことは、言うまでもありません。それでも、関係がこじれたときに「画像を持っている側」になっていれば、相手から見たあなたは、この統計の中の一人と同じ位置に立つことになります。相手を安心させられるかどうかは、撮る前の段階でほとんど決まります。
二つの法律が、何を罰しているのか
撮影と画像の扱いに関わる法律は、主に二つあります。どちらも、e-Govの法令検索で最新の条文を確認できます。
第3条:撮影された人が特定できる方法で、性的な画像を、ネットを通じて不特定または多数の人に提供した者は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。そうさせる目的で、特定の誰かに画像を渡した者も、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。この罪は、被害を受けた人の告訴が必要です。
第2条:正当な理由なく、ひそかに性的な姿態を撮影した者などは、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。第3条:その記録を人に提供した者も同じ。不特定または多数に提供した者は、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方。第4条:提供する目的で保管していた者も、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金。
この法律が対象にする「私事性的画像記録」とは何かは、第2条で三つに分けて定められています。一つは、性交やそれに似た行為をしている姿。二つ目は、性器や胸などを触ったり触られたりしている姿で、性的な興奮を引き起こすもの。三つ目は、服の全部または一部を着けていない姿で、性的な部位がことさらに見えていたり強調されていたりして、性的な興奮を引き起こすものです。行為の最中だけでなく、裸や下着姿を写した一枚も、内容によっては対象に入るということです。
最初の法律は、平成26年にできた、いわゆるリベンジポルノ防止法です。この法律が守ろうとしているのは、撮ることそのものではなく、撮った画像が広まることで壊される私生活の平穏です。だから、条文が罰しているのは「提供」と「公然と陳列すること」です。
二つ目の法律は、令和5年7月から施行された、いわゆる撮影罪の法律です。こちらは、ひそかに撮ることそのものを罰します。それだけでなく、撮ったものを人に渡すこと、ネットで広めること、広める目的で持っておくことまで、それぞれ別の罪として定めています。
「同意があったから大丈夫」とは言えない場面
撮影罪の法律の第2条には、ひそかに撮る場合のほかにも、罪になる撮り方が並んでいます。その一つが、「特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ」て撮る、あるいはそう誤信していることに乗じて撮る、というものです。
分かりやすく言えば、「二人だけの記念だから」「絶対に誰にも見せないから」と相手に思わせて撮り、実際には誰かに見せるつもりがあった場合です。相手は撮られることには同意していますが、その同意は「誰にも見せない」という前提の上に成り立っています。前提が嘘なら、同意は意味を持ちません。
リベンジポルノ防止法の側でも、考え方は同じです。この法律の第2条は、守る対象となる画像から、撮影された人が「第三者が見ることを認識したうえで」任意に撮影を承諾したものを外しています。裏を返せば、二人のあいだだけのものとして撮った画像は、すべて法律が守る対象になります。相手が笑って撮らせてくれたことは、その画像を人に見せてよい理由にはなりません。
お酒や眠気、立場の差がある場面での撮影
撮影罪の法律の第2条第1項第2号は、刑法の不同意わいせつの条文(第176条第1項)が挙げる事情などによって、同意しない意思を持つことや、それを示すこと、貫くことが難しい状態にある人を撮ることを、罪としています。刑法が挙げている事情は八つあり、その中には、アルコールや薬物の影響があること、眠っているなど意識がはっきりしない状態にあること、同意しないと考える時間のゆとりがないこと、そして、仕事やお金の関係での立場の差から、断ると不利益があると心配していることが入っています。
つまり、二人で飲んだあと、相手が酔っているときに撮った画像や、眠っている相手を撮った画像は、相手があとから「いいよ」と言ったとしても、撮った時点で罪になりうるということです。仕事の取引先や職場の後輩など、相手から見て断りにくい立場にあるなら、たとえ相手が笑っていても、撮らないほうがいい理由はさらに増えます。
年齢の線は、撮影の法律にもある
撮影罪の法律の第2条第1項第4号は、13歳未満の人の性的な姿を撮ることを、理由を問わず罪としています。13歳以上16歳未満の人についても、撮る側が5歳以上年上であれば同じです。相手の同意があっても関係ありません。体の関係を前提に相手を探す場で、年齢の確認がいい加減になってはいけない理由の一つがここにあります。
撮る前に、二人で決めておくこと
ここまで読むと、撮らないのがいちばん安全だということは分かります。実際、撮らなくても関係は続きます。それでも撮りたいと思うなら、撮る前に、相手と次のことを言葉にして確かめておくのが最低限です。
一つ目は、誰の端末で撮るかです。自分のスマートフォンで撮れば、画像の管理は自分の責任になります。相手のスマートフォンで撮れば、画像を持つのは相手で、相手が自分の判断で消せます。どちらが相手にとって安心かは、言うまでもありません。体の関係を続けている相手から「撮ってもいい?」と聞かれたとき、「撮るなら、そっちのスマホで」と答えられる男性は、それだけで信頼されます。
二つ目は、顔を写すかどうかです。リベンジポルノ防止法が罰しているのは、撮影された人が特定できる方法での提供です。顔や、特徴のある体のしるし、部屋の様子が写っていれば、画像から人が特定されやすくなります。相手のためにも、自分のためにも、写さないと決めておいたほうがいいものがあります。
三つ目は、いつ消すかです。「関係が終わったら消す」「次に会ったときに一緒に消す」など、消すタイミングを最初に決めておけば、相手はそのあいだも安心していられます。決めないまま撮ると、画像は、どちらかが消そうと言い出すまで残り続けます。
そして何より大事なのは、相手が嫌がるそぶりを少しでも見せたら、撮らないことです。断りにくい空気の中で出た「いいよ」は、本当の同意ではないかもしれません。関係の中でどちらが立場が強いかは、外からは見えにくいものです。お酒が入っているときや、相手が眠そうなときに撮らないのも、同じ理由からです。
撮ったあとの保存が、いちばん漏れやすい
画像が人の目に触れる経路として、意外に多いのが、本人の意図しない保存と同期です。スマートフォンのカメラで撮った写真は、設定によっては、自動的にクラウドへ送られます。同じアカウントを家族のタブレットやパソコンでも使っていれば、そちらの画面にも表示されます。家族で写真を共有するアルバムを作っている人は、とくに注意が必要です。
消したつもりでも、消えていないことがあります。スマートフォンの写真アプリの多くは、削除した写真をすぐには消さず、「最近削除した項目」やゴミ箱にしばらく残します。iPhoneの写真アプリでは、削除した写真は30日間そこに残ります。そこからも消して、初めて端末とクラウドから消えます。LINEなどのトークに送った画像は、相手の端末にも残ります。
画像を人に渡すことにも、法律の線があります。リベンジポルノ防止法は、ネットで不特定多数に広めることだけでなく、広めさせる目的で特定の誰かに渡すことも罰しています。撮影罪の法律では、ひそかに撮ったものや、誰にも見せないと思わせて撮ったものなど、罪になる撮り方をした記録は、特定の一人に渡すだけでも罪になります。そのどちらにも当たらない画像であっても、友人に「見て、この子」と送れば、相手の私生活を侵害したとして、損害賠償を求められることがあります。軽い自慢のつもりの一枚が、法律の上では重い意味を持ちうるということです。
写真を保存しておく専用のアプリや、隠しフォルダを使えば安全だと考える人もいます。ただ、端末をなくしたとき、修理に出したとき、誰かにロックを開けられたとき、保存した画像は、持ち主の意図とは関係なく人の目に触れます。いちばん確実な管理の方法は、最初から持たないことです。
ビデオ通話の画面を残すとき
会えない日に、ビデオ通話でやりとりをする関係もあります。通話の画面は、その場で流れて消えるものだと相手は思っています。そこでスクリーンショットを撮ったり、画面を録画したりすれば、相手が知らないうちに、写真や動画を撮ったのと同じものが手元に残ります。相手が気づかないように残したのなら、それは「ひそかに撮った」のと変わりません。
残したいなら、その場で相手に聞くこと。聞けないなら、残さないこと。考え方は、カメラで撮るときとまったく同じです。最近のスマートフォンには、相手が画面を保存したことを知らせる機能を持つアプリもありますが、すべてのアプリがそうではありません。相手が気づけない方法で残せてしまう以上、自分で線を引くしかありません。
相手が送ってきた画像は、どう扱うか
撮るのではなく、相手が自分で撮った画像を送ってくることもあります。これも扱いは同じです。相手が自分の意思で送ってくれた画像は、あなただけに見せるつもりのものです。人に見せたり、別の場所に保存し直したりすれば、相手の信頼を裏切ることになり、場合によっては法律の問題にもなります。
見たら消す、と相手に伝えておくのも一つの方法です。送られてきた画像をどうするかを、相手から聞かれる前に自分から伝えておけば、相手は安心してやりとりを続けられます。
もう一つ、必ず気をつけたいのが、相手の年齢です。18歳未満の相手の性的な画像は、たとえ本人が自分から送ってきたものでも、受け取って持っているだけで、児童ポルノの所持として罰せられることがあります。年齢を偽る相手がいる以上、相手の年齢が確かめられていない場所でのやりとりは、それだけで大きな危険を含んでいます。
相手の年齢を、サービスの側で確かめている場所から始める
写真のやりとりに限らず、体の関係を前提に相手を探すなら、相手が18歳以上であることを、運営が身分証で確かめている場所を選ぶのが出発点です。セフレポで紹介しているリピアイとスグラブは、LINEで友だち追加して始めるサービスで、使い始める前に身分証での年齢確認が求められます。相手のプロフィールを見たり、届いたメッセージを読んだりするのは無料で、こちらから送るときに1通30PT。新規登録の130PT(1,300円分)で、相手との最初のやりとりを始められます。
自分が撮られる側になったとき
ここまでは自分が撮る側の話でしたが、逆もあります。相手が自分を撮りたがる、あるいは自分の画像を持っている場合です。既婚の男性や、職場に知られたくない事情を抱える男性にとって、自分の画像を相手が持っていることは、それだけで弱みになります。
撮られたくなければ、はっきり断ってかまいません。断ったことで関係が終わるなら、その相手とは、もともと長く続けるのが難しかったということです。すでに撮られてしまっている場合は、関係が穏やかなうちに、一緒に消してほしいと頼むのがいちばん確実です。関係がこじれてから頼むと、画像そのものが交渉の材料になってしまうことがあります。
万が一、画像を使って脅されたり、ネットに出されたりした場合は、一人で抱えずに、警察の相談窓口に相談してください。警察庁のウェブサイトには、リベンジポルノ等の被害を防ぐための案内のページがあり、相談の窓口が紹介されています。画像を載せたサイトの運営者に削除を求める仕組みも、リベンジポルノ防止法の第4条で整えられています。撮られた側が男性であっても、法律の扱いは変わりません。
知っておきたいのは、リベンジポルノ防止法の罪は、被害を受けた本人が告訴しなければ裁判にならない、という点です(第3条第4項)。警察に相談するときは、画像が載っている場所の記録や、相手とのやりとりを消さずに残しておくと、話が進めやすくなります。また、この罪は、日本の国民が国の外で行った場合にも罰せられると定められています(同条第5項)。海外のサイトに載せられたからといって、あきらめる必要はありません。
削除の求め方には、普通の権利侵害よりも早く進む特例があります。リベンジポルノ防止法の第4条によると、撮影された本人などから削除を求められたサイトの運営者は、画像を載せた人に「削除してよいか」を問い合わせ、2日たっても反対の返事がなければ、削除しても責任を問われません。画像が広まるほど取り返しがつかなくなるため、待つ期間が短く決められているのです。撮影罪の法律には、捜査の中で押収された物に記録された画像を、検察官が消す手続きも定められています。法律は、撮られた画像が残り続けることそのものを、被害として扱っているということです。
こうした仕組みがあることは、裏返せば、一度広まった画像を完全に消すのは難しいということでもあります。サイトの運営者が削除しても、それまでに誰かが保存していれば、画像は別の場所に現れます。だからこそ、法律の第6条は、国や自治体に、撮影させないこと、自分の画像を人に渡さないこと、撮影や提供を求めないことの大切さを、学校や職場などで広く伝えるよう求めています。
関係が終わる日に、やっておくこと
体の関係は、どちらかが結婚する、引っ越す、気持ちが変わるなど、いつか終わることがほとんどです。終わり方がこじれても、画像さえ残っていなければ、問題の多くは起きずに済みます。関係の終わらせ方そのものについては、セフレの終わらせ方の記事にまとめました。ここでは、画像に関わることだけを順番に挙げます。
- 自分の端末の写真アプリから、相手が写っている画像と動画を消す。「最近削除した項目」やゴミ箱からも消す。
- クラウドの写真サービスに同期されていないかを確かめ、同期されていればそちらからも消す。家族と共有しているアルバムに入っていないかも見る。
- LINEなどのトークに残っている画像を消す。相手にも、自分の画像が残っていれば消してほしいと伝える。
- パソコンや外付けの記録媒体に移した画像があれば、それも消す。
- 消したことを、相手に一言伝える。相手が安心して次の生活に進めるようにするのが、最後の気づかいになる。


