セフレのように、恋人とは違う距離感で体の関係を続けるなら、避けて通れないのが性感染症の話です。けれども、いつ検査を受ければいいのか、どこで受けられるのか、相手にどう切り出せばいいのか。分からないまま、なんとなく先送りにしている人は少なくありません。
この記事では、国立健康危機管理研究機構(国立感染症研究所)がまとめた梅毒の届出の集計と、厚生労働省のHIV検査の案内をもとに、いま性感染症がどれくらい広がっているのかを確かめたうえで、検査の受け方と、相手との話し方を整理しました。病気の診断や治療の判断は医療機関の役目なので、ここでは「受けるまで」と「話すまで」に絞ります。
梅毒の届出は、2025年に13,530人
感染症発生動向調査で、2025年に診断されて届け出られた梅毒は、2026年1月6日までの集計で13,530人でした。四半期ごとに見ると、1〜3月が3,321人、4〜6月が3,737人、7〜9月が3,577人、10〜12月が2,895人です。年末の数字には、まだ届け出が遅れている分が含まれていないので、実際の数はこれより少し増えると考えられます。
梅毒は、全数を届け出る決まりになった1999年以降で見ると、2020年代に入ってから大きく増えた病気です。2025年は前の年より少なくなりましたが、それでも毎月千人を超える人が新たに診断されています。四半期ごとの数を見ても、4〜6月の3,737人がいちばん多く、季節を問わず千人単位で届け出が続いています。決して昔の病気ではありません。身近な相手との関係の中で、いつ誰に起きてもおかしくない病気だと考えておきましょう。
| 都道府県 | 2025年の届出数 |
|---|---|
| 東京都 | 3,355人 |
| 大阪府 | 1,688人 |
| 愛知県 | 849人 |
| 福岡県 | 770人 |
| 神奈川県 | 751人 |
人の多い大都市ほど数が多く、東京都だけで全国の4分の1近くを占めます。ただ、届け出は全国47都道府県すべてからあり、地方に住んでいるから関係ない、ということはありません。
人口の多さを差し引いて比べるために、2025年10〜12月の届け出を人口100万人あたりで見ると、東京都が46.9、大阪府が40.3、福岡県が39.3と、大都市が上位に並びます。その次に来るのは岡山県の26.5、愛媛県の26.2で、愛知県の24.8や広島県の21.1を上回っています。全国の平均は22.9でした。大都市でなくても、人口あたりで見ると決して少なくない県があるということです。住んでいる地域での出会い方は、岡山や愛媛など、地域別の記事でも扱っています。
前の年の同じ時期(2024年10〜12月)とくらべると、全国では0.8倍に減りました。ただ、県ごとに見ると、青森県が1.4倍、岩手県と秋田県が1.5倍、長野県が1.3倍、奈良県が1.4倍と、増えている県もあります。数の少ない県では年ごとの上下が大きくなりがちですが、全体が減っているからといって、自分の住む地域でも減っているとは限りません。
男性は20代から60代まで、女性は20代前半に多い
同じ集計で、2025年の届け出を男女と年齢で分けると、男女で形がはっきり違います。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 15〜19歳 | 149人 | 436人 |
| 20〜24歳 | 918人 | 1,720人 |
| 25〜29歳 | 1,058人 | 1,109人 |
| 30〜34歳 | 999人 | 480人 |
| 35〜39歳 | 889人 | 305人 |
| 40〜44歳 | 953人 | 245人 |
| 45〜49歳 | 971人 | 198人 |
| 50〜54歳 | 923人 | 170人 |
| 55〜59歳 | 659人 | 104人 |
| 60歳以上 | 1,024人 | 175人 |
女性は20代前半がいちばん多く、20代だけで2,800人あまりにのぼります。男女と年代の組み合わせで見ても、20〜24歳の女性の1,720人が最も多い層です。一方、男性は20代後半から50代前半まで、どの年代も900〜1,000人前後と、幅広い年代に広がっています。60歳以上の男性も1,000人をこえていて、年齢が上がれば関係ない、ということもありません。
年齢の分からない届け出は表に含まれていないため、合計は13,530人と一致しません。それでも、男性の側はどの年代でも人ごとではないということが、この表からよく分かります。
この表をセフレの関係に当てはめると、気になる組み合わせが見えてきます。届け出の多い男性の年代は40代から50代まで広がっている一方、女性は20代に集中しています。出会いの場では、年上の男性と年下の女性という組み合わせは珍しくありません。年の離れた相手と関係を持つときも、自分の年代だけを見て「若い人の病気だ」と考えないことが大切です。
異性間の性行為で広がっている
集計では、どのような関係で感染したと考えられるかも分けて届け出られています。2025年の4つの四半期を合わせると、男性で女性と性行為をした人の届け出が5,170人、男性同士の届け出が1,184人、女性で男性と性行為をした人の届け出が3,771人でした。
異性間の性行為による届け出が、男女合わせて9千人近くにのぼります。いま梅毒が広がっている中心は、異性間の関係だということです。男性同士の届け出の1,184人とくらべると、異性間の届け出は7倍以上にのぼります。セフレのように複数の相手と関係を持つ人や、相手が自分以外とも関係を持っているかもしれない人にとって、性感染症の検査は、特別な人のためのものではなく、ふつうの予防の一つです。
なお、同じ期間に、妊娠中の母親から赤ちゃんに感染する先天梅毒も39件届け出られています。相手が妊娠を望む年代の女性であれば、なおさら、お互いに検査を受けておく意味は大きくなります。
先天梅毒の届け出は、2025年の1〜3月が9件、4〜6月が13件、7〜9月が11件、10〜12月が6件でした。母親が妊娠前や妊娠中に感染に気づき、治療を受けていれば防げたかもしれない数字です。関係を持つ相手の人生にもかかわることだと考えると、検査は自分一人の問題ではないと分かります。
性風俗の利用や仕事とは関係のない届け出も多い
集計には、診断される前の6か月以内に、性風俗の店を利用したことがあるか、そこで働いたことがあるかという項目もあります。2025年の4つの四半期を合わせると、男性で性風俗の利用歴が「あり」と届け出られたのは3,243人で、男性の届け出のおよそ4割でした。女性で性風俗の仕事をしていたことが「あり」とされたのは1,651人で、女性の届け出のおよそ3分の1です。
見方を変えると、男性の届け出の6割ほど、女性の届け出の3分の2ほどは、性風俗の利用歴や従事歴が「なし」か、分からない人たちだということです。利用歴が「なし」と届け出られた男性だけでも2,449人いました。梅毒は、性風俗を使う人だけの病気ではなく、ふつうの出会いの中で関係を持った相手からもうつりうる病気だと考えておく必要があります。
出会い系やマッチングアプリで知り合った相手、友人の紹介で知り合った相手、昔からの知り合い。どんなきっかけでも、体の関係を持つ以上、性感染症の可能性はゼロにはなりません。相手を疑う必要はありませんが、「この人なら大丈夫」と決めつけないことが大切です。検査は、相手への信頼とは別の話として考えましょう。
症状がないまま見つかる人が多い
梅毒の届け出は、症状の出方によっても分けられています。2025年に届け出られた、男性と性行為をした女性3,771人のうち、症状のない「無症候」の段階で見つかった人は1,309人で、およそ3人に1人でした。男性で女性と性行為をした5,170人のうちでは685人で、13%ほどです。男性では、「早期顕症Ⅰ期」と分類される段階の段階で見つかった人が3,188人と6割をこえていて、男女で見つかり方に違いがあることが分かります。
症状がないまま見つかる人がこれだけいるということは、「何も症状がないから大丈夫」とは言えないということです。自分では気づかないうちに感染していて、相手にうつしてしまうこともあります。症状がなくても定期的に検査を受けることが、自分と相手の両方を守ることにつながります。
梅毒のほかにも、クラミジアや淋菌感染症、HIVなど、性行為で感染する病気はいくつもあります。どの病気をどの検査で調べるかは、医療機関や保健所で相談しながら決めるのが確実です。
女性のほうが症状のないまま見つかる割合が高いということは、男性の側から見れば、相手の女性が自分の感染に気づいていない可能性もあるということです。相手に症状がないことは、安全の証明にはなりません。お互いに検査を受けて結果を確かめておくことが、いちばん確かな方法です。
検査はどこで受けられるか
性感染症の検査を受けられる場所は、大きく分けて二つあります。
保健所:無料・匿名で受けられる
厚生労働省のHIV検査の案内によると、HIVの検査は、全国の保健所や自治体の特設の検査施設で、無料・匿名で受けることができます。名前を言う必要はなく、住んでいる場所以外の保健所でも受けられます。多くの保健所では、HIVと一緒に梅毒の検査も受けられ、自治体によっては、その日のうちに結果が分かる即日検査を行っているところもあります。
近くの検査施設は、厚生労働省のHIV検査の案内から開ける「HIV検査・相談マップ」で、都道府県ごとに探せます。保健所の検査は、曜日や時間、予約の要否が施設ごとに決まっているので、行く前に必ず確かめましょう。
住んでいる場所以外の保健所でも受けられるということは、知り合いに会うのが心配な人にとって大きな意味があります。地元の保健所に行きにくいなら、隣の市や、仕事で通っている街の保健所を選ぶこともできます。小さな街に住んでいる人ほど、この選び方は覚えておくとよいでしょう。名前を言わずに受けられるので、検査を受けたことが周りに知られる心配もほとんどありません。
医療機関:症状があるときや、詳しく調べたいとき
泌尿器科や婦人科、性感染症を扱う診療所でも検査を受けられます。こちらは保険診療や自費診療になりますが、症状があるときはすぐに診察を受けられ、陽性だった場合はそのまま治療に進めます。気になる症状があるなら、保健所の検査日を待たずに医療機関を受診するほうが安心です。医療機関で受けるときは、性感染症の検査を受けたいことを受付で伝えれば、ほかの患者に内容が聞こえないよう配慮してくれるところも多くあります。不安なら、予約の電話で先に伝えておくと当日が楽です。
検査を受ける時期によって、結果の確かさが変わることもあります。感染の機会から日が浅いと、検査で見つからない場合があるからです。いつ受ければいいか迷うときは、保健所や医療機関に電話で相談すると、自分の状況に合わせて教えてもらえます。
厚生労働省の案内では、HIVについても、陽性と分かった場合に適切な治療を受ければ、これまで通りの生活を送り、ほぼ寿命まで生きることができると説明されています。そのうえで、陽性と分かったらなるべく早く医療機関を受診するよう呼びかけています。検査を怖がって先送りにするより、早く知って早く対処するほうが、ずっと良い結果につながるということです。
検査を受けるまでの流れ
- 受ける場所を決める:無料・匿名がよければ保健所、症状があるなら医療機関。保健所なら「HIV検査・相談マップ」で近くの施設を探す。
- 日時と予約を確かめる:保健所の検査は、月に数回、決まった曜日と時間にしか行っていないことが多い。予約が必要かどうかも確かめる。
- 何を調べるかを伝える:HIVだけか、梅毒やほかの性感染症も調べたいかを、受付や相談の時に伝える。
- 結果を受け取る:即日検査ならその日のうちに、通常の検査なら1〜2週間ほどあとに、もう一度行って結果を聞くことが多い。
- 陽性だったら、すぐに医療機関へ:治療を始め、関係を持った相手にも検査を勧める。
相手に、どう切り出すか
検査の大切さが分かっていても、相手に「検査を受けてほしい」と言い出すのは勇気がいります。相手を疑っているように聞こえないか、関係が気まずくならないか。そう考えて黙ってしまう人も多いでしょう。
切り出し方のこつは、相手を疑う話としてではなく、自分の習慣の話として伝えることです。「自分は定期的に検査を受けるようにしている」「この前受けてきたら問題なかった」と、まず自分のことを話す。そのうえで「お互いに受けておくと安心だよね」と続ければ、相手を責める響きはぐっと弱まります。
話すタイミングは、体の関係を持つ前のやりとりの段階が理想です。会ってからでは、雰囲気を壊したくなくて言い出しにくくなります。メッセージのやりとりの中で、避妊や検査について自然に話せる相手かどうかは、その人を見極める材料にもなります。こうした話をきちんと聞いてくれる相手は、ほかのことでも約束を守ってくれる人であることが多いものです。
出会い系サイトで相手を探すなら、会う前にメッセージで価値観をすり合わせておくことができます。たとえばスグラブでは、届いた文章を読むのは無料で、新規登録の1,300円分(130PT)で、1通30PTのメッセージを4通送れます。会う前の数往復のうちに、検査や避妊の考え方を確かめておくと安心です。
プロフィールやメッセージで、避妊や検査について自分の考えを先に書いておくのも一つの方法です。「会う前に、お互いの考えを少し話せたらうれしい」と添えておけば、同じ考えの相手とつながりやすくなります。反対に、そうした話を面倒がったり、はぐらかしたりする相手とは、無理に会わない選び方もあります。自分の体を守る話を大事にできるかどうかは、相手を選ぶ大切な基準の一つです。
検査の結果を、相手とどう分け合うか
お互いに検査を受けることにしたら、結果をどう伝え合うかも決めておきましょう。結果が分かったら、会う前にメッセージで伝え合う。陰性だったら次の検査の時期を決め、陽性だったら治療が終わるまで会うのを控える。こうした流れを先に話しておけば、結果が出たときに慌てずに済みます。
保健所の検査は匿名なので、結果を証明する書類がもらえない場合もあります。結果を見せ合うかどうかにこだわるより、お互いに「受けた」「結果はこうだった」と正直に伝え合える関係を作ることのほうが大切です。うそをつかない、隠さないという信頼が、検査そのものと同じくらい、二人を守ることになります。
一方で、相手に検査の結果を無理に求めたり、何度も確かめたりすると、相手は信用されていないと感じてしまいます。決めた約束を守っているなら、それ以上は詮索しない。検査の話を、相手を縛る道具にしないことも、関係を気持ちよく続けるためのこつです。
もし自分が陽性だと分かったら、関係を持った相手に伝えるのはつらいことです。それでも、相手が検査を受けて早く治療を始められるかどうかは、その一言にかかっています。伝え方に迷ったら、保健所や医療機関で相談すると、伝え方についても助言してもらえることがあります。
関係を続けるなら、決めておきたいこと
一度だけの関係ではなく、セフレとして関係を続けるなら、検査は一度受けて終わりではありません。どれくらいの間隔で受けるか、相手がほかの人とも関係を持つ場合はどうするか、避妊具を必ず使うか。こうしたことを、二人の決まりとして先に話しておくと、あとで気まずくならずに済みます。
検査を受ける間隔に、誰にでも当てはまる正解はありません。目安になるのは、新しい相手と関係を持ったとき、相手にほかの相手ができたと分かったとき、そして体に気になることがあったときです。関係を続けている間は、一定の間隔で受けることを二人で決めておくと、言い出しにくさもなくなります。何か月ごとに受けるのがよいかは、保健所や医療機関で自分たちの状況を話して相談するのが確実です。
避妊具は、梅毒を含む多くの性感染症の予防に役立ちますが、すべてを防げるわけではありません。皮膚や粘膜の接触でうつる場合もあるからです。避妊具を使っていても、定期的な検査と組み合わせることが大切です。
もしどちらかが陽性だと分かったら、責め合うのではなく、まず治療を優先しましょう。梅毒は、早く見つけて適切な治療を受ければ治る病気です。治療が終わるまでは性行為を控え、医師の指示に従うことが、相手と自分を守ることになります。関係を長く続けるためのほかの約束ごとは、セフレと長続きするための記事にもまとめています。
性感染症の検査は、相手を疑うためのものではなく、お互いが安心して関係を続けるためのものです。年に1万人をこえる人が梅毒と診断されている今、検査を「当たり前の習慣」にできる人が、結局はいちばん長く、気持ちよく関係を続けられます。
※本記事は18歳以上の成人を対象にしています。梅毒の届出数は国立健康危機管理研究機構(国立感染症研究所)「感染症発生動向調査で届け出られた梅毒の概要」(2026年1月6日現在・2025年第52週まで)、検査の案内は厚生労働省のHIV検査の案内にもとづき、2026年10月6日に確認したものです。症状や治療については、必ず医療機関に相談してください。


