Tinderの利用規約を開くと、最初のほうに、契約の相手が住んでいる場所によって変わる、という一節があります。欧州経済領域や英国、スイスに住んでいる人はアイルランドの会社と、日本に住んでいる人は東京都港区三田のMGジャパンサービス合同会社と、それ以外の地域の人は米国テキサス州ダラスのTinder LLCと契約を結ぶ、という書き方です。世界の190の国と地域で使われているアプリですが、日本で使う人にとっての相手は、日本の会社だということです。
「Tinderでセフレは見つかるのか」「サクラや業者はいないのか」と調べる前に、日本で使うときの決まりを、公式の資料で確かめておきましょう。この記事では、2026年3月1日に発効した利用規約、日本向けの公式サイトにある特定商取引法に基づく表示と企業情報、安全への取り組みを説明したページを読み、運営会社については国税庁の法人番号公表サイトの記録も確かめました。マッチングアプリと出会い系の違いは別の記事で整理しています。
日本の契約相手は、港区三田の合同会社
日本向けの公式サイトの企業情報によると、Tinderを日本で運営しているのはMG Japan Services合同会社で、代表者の名前と、港区三田一丁目の住友不動産麻布十番ビルという所在地が載っています。米国の上場企業であるMatch Groupの関連会社で、Match Groupは「Tinder」のほかに「ペアーズ」なども運営している、と紹介されています。
細かいことですが、利用規約の中の所在地は「住友不動産麻布ビル」と書かれていて、公式サイトの企業情報や特商法の表示にある「住友不動産麻布十番ビル」と、建物の名前が少しだけ違います。国税庁の記録にある所在地は「住友不動産麻布十番ビル4階」です。郵便番号と番地は同じなので、同じ建物を指していると読むのが自然でしょう。問い合わせや書面を送るときは、特商法の表示の書き方に合わせておくと確実です。
「設立2019年8月」と、国税庁の記録
公式サイトの企業情報には、設立は2019年8月と書かれています。一方で、国税庁の法人番号公表サイトで同じ会社の記録を見ると、少し違う経過が分かります。2019年8月20日に商号を変えた記録があり、それより前の名前は「マッチ・ドットコムジャパンネットワークス合同会社」でした。さらにさかのぼると、2017年と2018年に、港区南青山の中で本店を移した記録も残っています。
つまり、法人としてはそれ以前からあり、2019年8月に今の名前に変わった、ということです。企業情報の「設立」が、今の名前での出発を指しているのかもしれません。どちらが間違っているという話ではありませんが、運営会社の歴史を調べるときは、公式サイトの説明と国の記録を並べて読むと、より正確な姿が見えてきます。
届出番号の「三田」は、警察署の名前
公式サイトのいちばん下には、「インターネット異性紹介事業登録済み 登録番号: 三田 26-107122」と表示されています。出会い系サイト規制法では、異性を紹介するサービスを営む事業者は、事務所の所在地の公安委員会に届け出ることになっていて、届出は事務所のある地域の警察署を通して出します。番号の頭の「三田」は、届出を受け付けた警視庁の三田警察署を指すと読めます。
法律の上では「登録」ではなく「届出」なので、表示の言葉と法律の言葉は少し違いますが、届出を済ませた事業者だということは確かめられます。届出を済ませた事業者には、利用者が18歳未満でないことを確かめる義務がこの法律でかかります。番号が表示されていること自体が、一つの確認材料になります。
18歳以上で、独身の人のためのアプリ
利用規約の第2条は、利用できるのは18歳以上の個人で、性的な非行に関わる犯罪で有罪の判決を受けていないことなどを条件にしています。日本向けのサービス紹介のページには、さらに「18歳未満の方や独身でない方はご登録いただけません」と書かれています。結婚している人は、日本では使えないという決まりです。
同じページは、18歳から30歳の、いわゆるZ世代がユーザーの60%以上を占めているとしています。若い世代の利用者が多いアプリだということは、相手を探すときの前提になります。30代後半や40代の人が使うと、同じ年代の相手が少なく感じることもあるでしょう。年代の近い相手が多いサービスを選ぶか、Tinderで若い世代と知り合うかは、自分の目的で決めることです。
目的の幅については、ヘルプセンターの紹介文が参考になります。英語の紹介文は、真剣な関係を探している人も、気軽な関係を探している人も、まだ決めていない人も、という書き方で、つながりの始まる場所だと説明しています。一方で、日本向けのサイトには、デートや恋愛で欠かせない「同意」について考えるためのオリジナルサイトや、安心して使うためのガイドラインが用意されています。気軽な関係を求めるのは自由でも、相手の同意を確かめながら進めることが前提だ、という姿勢が読み取れます。相手が同じ目的とは限らないので、最初のやりとりでお互いの考えをそれとなく確かめておくと、すれ違いが減ります。
メッセージは、年齢確認が済んでから
日本向けのサービス紹介のページは、日本の関連法規に基づいてユーザーが18歳以上であることを確認しているとし、身分証明書をアップロードして年齢確認を終えたあとに、マッチした人とメッセージのやりとりができるようになる、と説明しています。マッチするまでは身分証を出さずに使えても、相手と言葉を交わすには年齢確認が必要だということです。
年齢確認とは別に、顔写真の認証もあります。認証を済ませた人のプロフィールには青いチェックマークが付き、相手を判断する材料の一つになる、と案内されています。ただし、利用規約の第10条は、Tinderはユーザーの犯罪歴や身元の確認を行わない、と書いています。ユーザーの身元や意図、情報の真実性について、何も保証しないという内容です。年齢の確認と、相手がどんな人かの確認は、別のものだと考えておく必要があります。
料金は、人によって変わることがある
特商法の表示の販売価格の欄は、「購入手続の際に画面に表示されます」となっていて、具体的な金額は書かれていません。利用規約の第8条は、その理由とも読める説明をしています。Tinderは世界で事業をしていて、価格は複数の要素で変わり、キャンペーン価格は地域、サブスクリプションの期間、まとめ買いの量、過去の購入の履歴、アカウントの利用状況などによって異なる、という内容です。
つまり、同じプランでも、人によって画面に出る金額が違うことがありうる、ということです。友人から聞いた金額や、評判の記事に書かれた金額が、自分の画面と同じとは限りません。申し込む前には、自分の画面に出た金額と期間を、そのまま確かめるしかありません。支払い方法は、クレジットカード、Google Playのアプリ内課金、Apple IDのアプリ内課金の三つが特商法の表示に挙がっています。
解約は、買った場所で行う
有料のサブスクリプションは、キャンセルするまで自動で更新されます。注意したいのは、どこで買ったかによって、解約の場所が変わることです。規約の第8条によると、Apple IDやGoogle Playで買った場合は、それぞれのアカウントの設定から解約する必要があり、アカウントを削除したりアプリを端末から消したりしても、それだけでは解約になりません。ウェブサイトやアプリの中でカードで払った場合は、ログインして「アカウント」の画面から解約します。
反対に、サブスクリプションをやめても、プロフィールは消えません。Tinderは無料でも使えるサービスなので、有料の特典がなくなるだけで、アカウントは残ります。完全にやめたいときは、第9条のとおり、設定から「アカウントを削除」を選ぶ必要があります。解約とアカウントの削除は、別々の手続きです。逆に、アカウントを先に削除しても、Apple IDやGoogle Playでの支払いは止まらないので、やめるときは支払いの解約を先に済ませ、そのあとでアカウントを消す順番にしておくと間違いがありません。
スーパーライクやブーストといった「仮想アイテム」は、規約の上では返金の対象になりません。購入は最終のもので、アカウントを閉じたときに使っていない分があっても、お金は戻らないとされています。規約には、EUや韓国、米国の一部の州に住む人のための返金の特例が並んでいますが、日本についての特例は書かれていません。特商法の表示も、購入のあとの都合によるキャンセルはできない、としています。
載せた写真と文章の扱い
規約の第7条は、プロフィールに載せた写真や文章の権利は利用者にあるとしながら、Tinderにそれを使う広い権利を与える、と定めています。その中には、AIの技術を使うことも含めて、サービスやほかの製品を訓練し、開発し、改善するために使うことが挙がっています。また、サービスの画面を写したスクリーンショットに自分の載せたものが含まれる場合、その画面の写しについてはTinderが独占的な権利を持つ、という例も書かれています。
セフレを探す目的で使う人ほど、顔の分かる写真や、身元につながる情報の載せ方には気をつけたいところです。一度載せたものが、どのように使われうるかは、この条文で決まっています。身近な人に知られたくない事情がある人は、身バレを防ぐ記事も参考にしてください。
プロフィールに書いてはいけないもの
規約の第3条は、自分や他人の連絡先、銀行の情報、個人間送金の情報をプロフィールに載せてはいけない、としています。例として挙がっているのは、氏名、自宅の住所や郵便番号、電話番号、メールアドレス、URL、カードの情報、送金サービスのユーザー名などです。プロフィールは世界中の人に見られるので、載せる前に共有して問題がないかを確かめるように、とも書かれています。
同じ条文で、利用者は、Tinderがメッセージやその他の通信を含む内容を、サービスの監視や改善のために、機械学習などの技術も使って分析し、保存し、使う場合があることに同意する、とされています。マッチした相手とのやりとりも、運営が目を通しうるものだということです。会う前のやりとりで、仕事や住まいが分かるようなことを書きすぎない、という基本は、ここでも変わりません。
第4条には、違反があったと判断した場合、Tinderだけでなく、関連会社が運営するほかのサービスの利用も止めることがある、と書かれています。安全のために、関連会社のあいだでデータを共有することもあるとされています。規約に反して強制退会になれば、同じグループのアプリも使えなくなる可能性がある、ということです。禁止されている内容の見つけ方については、自動の仕組みと人の目による確認を組み合わせている、と説明されています。
月額の画面の金額が読めないなら、送った分だけ払う形もある
Tinderのように、画面を開くまで料金が分からず、買った場所ごとに解約の手順が違うサービスは、慣れないうちは少し身構えるかもしれません。セフレポで紹介しているリピアイとスグラブは、月額の契約がなく、LINEで友だちに追加して身分証で年齢を確かめたあと、文章を送ったときだけ30PTが減る仕組みです。プロフィールや届いた文章を読むのには何もかからず、登録すると130PT(1,300円分)が最初に付いてきます。
監視と通報の仕組み
日本向けのサービス紹介のページは、不審なユーザーを24時間体制で監視し、利用契約に反しているユーザーを見つけた場合は強制退会の措置をとる、と説明しています。違反の報告を受けたユーザーには警告を表示し、それでも改善が見られなければ強制退会になること、メールアドレスやIPアドレスなどを使って強制退会になった人の再登録を防いでいることも書かれています。
攻撃的なメッセージや不適切なメッセージを見つける機能もあります。不適切と思われるメッセージを受け取ると、「このメッセージは悪質ですか?」という表示が出て、「はい」と答えると相手を通報できる、という仕組みです。公式は、オフラインでの行動であっても、利用規約やガイドラインから外れた振る舞いが分かれば、アカウントの停止や削除につながる、としています。会ったあとの振る舞いも、規約の外ではないということです。
規約の第2条には、他の利用者に嫌がらせやストーカー行為をすること、商業目的や不法な目的で個人を特定できる情報を求めること、他人の個人情報を許可なく広めることなどが、禁止事項として並んでいます。体の関係を目的に使う場合でも、相手の意思を無視した誘い方や、しつこい連絡は、規約に反する行為になりえます。
お金についての決まりもはっきりしています。同じ禁止事項の中に、贈り物や貸し付け、報酬といった形を問わず、他のユーザーから金銭やその他の価値のあるものを求めること、という一項があります。会うことの見返りにお金を求められたり、逆にお金を条件に誘ったりするのは、規約の上でも禁止です。そうした話を持ちかけてくる相手がいたら、その場でやりとりをやめて通報するのが安全です。
ほかにも、他人のアカウントを使うことや自分のアカウントを人と共有すること、アカウントを止められたあとに許可なく新しいアカウントを作ること、根拠のない通報をくり返すことが禁止されています。利用資格の条件にも、ほかに有効なアカウントを持っていないことが入っています。アカウントは一人につき一つ、というのが前提です。
もめたときの決まりは、米国の法律が前提
規約の後半には、トラブルになったときの決まりが並んでいます。第14条は、法律で認められる最大限の範囲で、Tinderが利用者に負う責任の総額を、100米ドルか、利用者がそれまでに支払った金額のうち大きいほうまでに限る、としています。第16条は、法律で禁じられる場合を除いて、紛争にはテキサス州の法律と米国の連邦仲裁法が適用される、としています。第17条は、仲裁にならない訴えはテキサス州ダラス郡でしか起こせない、という内容です。
どの条文にも「適用法で禁止されている場合を除き」「法令で認められる最大限の範囲において」という但し書きが付いていて、EUや英国の利用者には別の扱いが明記されています。日本に住む利用者に、日本の消費者を守る法律がどこまで及ぶかは、規約の文面からは読み切れません。料金や解約で困ったときは、まずTinderのサポートに連絡し、話がつかなければ、消費者ホットライン(188)で近くの消費生活センターに相談するのが現実的な順番です。
規約そのものが変わることもあります。第1条は、重要な変更がある場合は新しい発効日とともにページに載せ、メールやアプリ内の通知で知らせることがあるとしつつ、変更を定期的に確かめる責任は利用者にある、と書いています。発効日のあとも使い続ければ、変更に同意したとみなされます。また、安全や機能のために必須の機能を加えることがあり、それを使いたくない場合はアカウントを使えなくなる可能性がある、という一文もあります。
Tinderで相手を探す前に、決めておくこと
ここまでの規約と表示を踏まえると、Tinderを使い始める前に、次の順番で確かめておくと迷いません。
- 自分が独身で、18歳以上であること。日本向けの案内では、独身でない人は登録できないとされています。
- メッセージの前に身分証を出す準備。マッチしても、年齢確認が済むまではやりとりができません。
- 有料にするなら、どこで買うか。Apple ID、Google Play、カードのどれで払うかで、解約の場所が変わります。
- 画面に出た金額をそのまま控える。価格は人によって変わることがあり、他人の金額は当てになりません。
- やめるときは、解約と削除の両方。サブスクリプションをやめても、プロフィールは残ります。
Tinderは、若い世代の利用者が多い、世界規模のアプリです。日本では日本の会社が契約の相手になり、届出も済んでいて、メッセージの前に年齢を確かめる仕組みもあります。その一方で、相手の身元までは確かめないこと、料金が画面を開くまで分からないこと、解約の場所が買った方法で変わることは、規約にはっきり書かれています。規約は2026年3月1日に発効した版を読みましたが、変更は随時あるとされているので、登録する日には、その日の規約と表示をもう一度確かめてから進めてください。決まりを知ったうえで使えば、迷う場面はずっと少なくなります。
この記事は、Tinder利用規約(2026年3月1日発効・日本語版)、Tinder Japanの公式サイトの特定商取引法に基づく表示・企業情報・サービス紹介のページ、国税庁法人番号公表サイトのMG Japan Services合同会社の変更履歴(2026年10月22日に確認)にもとづきます。


