同じ職場の相手と体の関係になることが、ほかの出会いといちばん違うのは、関係が終わっても、次の日にまた顔を合わせることです。出会い系やアプリで知り合った相手なら、合わなければ連絡をやめれば済みます。職場の相手とはそうはいきません。席が近く、同じ会議に出て、同じ上司に評価される。関係の始まり方も終わり方も、仕事の場に跡を残します。
この記事は、職場の同僚とそういう関係になることを勧めるものでも、止めるものでもありません。大人どうしが互いに望んで始める関係は、本人たちが決めることです。ただ、職場という場所には、恋人や友人どうしの関係にはない決まりと力の差があります。厚生労働省が公表している相談の件数と実態調査の数字を手がかりに、どこからが問題になりやすいのか、何を先に考えておけばよいのかを整理します。
職場の性的な言動は、労働局への相談の4割を占める
厚生労働省のまとめでは、令和6年度に全国の都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が受けた男女雇用機会均等法に関する相談は1万9,145件でした。そのうち最も多かったのが、職場のセクシュアルハラスメントに関する相談で、7,727件、全体の40.4%です。男女雇用機会均等法の第11条は、職場で行われる性的な言動によって、働く人が不利益を受けたり、働く環境が害されたりしないよう、事業主に必要な措置をとることを求めています。この条文に関する相談が、毎年いちばん多く寄せられているのです。
働く人の側から見た数字もあります。厚生労働省が2024年5月に公表した令和5年度の「職場のハラスメントに関する実態調査」では、全国の20〜64歳の働く人8,000人のうち、過去3年間に勤務先などでセクハラを受けたと答えた人は6.3%でした。令和2年度の調査より3.9ポイント下がってはいますが、およそ16人に1人です。企業の側の調査では、過去3年間にセクハラの相談があった企業は39.5%で、そのうち80.9%の企業が、ハラスメントに当たる事例があったと判断しています。
ここで押さえておきたいのは、セクハラは「嫌がらせをしようとした人」だけが起こすものではない、ということです。本人は好意のつもりでも、相手が断りにくい立場にいて、その言動で働きにくくなれば、職場の問題として扱われます。体の関係を持つかどうか、という私生活の話が、職場では仕事の環境の話に変わることがあるのです。
「何もしなかった」が最も多い、という数字の意味
同じ実態調査で、ハラスメントを受けたあとにどう行動したかを尋ねると、どのハラスメントでも「何もしなかった」が最も多い答えでした。勤務先がハラスメントを知ったあとの対応についても、セクハラでは「特に何もしなかった」が42.5%と、最も多くなっています。
セクハラを受けたと答えた503人について、その後の行動をもう少し詳しく見ると、「何もしなかった」が51.7%と半数を超えています。社内の同僚に相談した人は14.7%、上司に相談した人は12.5%、家族や社外の友人に相談した人は13.9%で、会社の相談窓口に相談した人は2.8%にとどまりました。会社を辞めたと答えた人も7.4%います。嫌な思いをした人の多くは、誰にも言わずに我慢するか、黙って職場を離れているのです。
この数字は、職場で誰かを誘う側にとって、大事なことを示しています。相手が嫌だと思っても、それを口に出すとは限らない、ということです。断れば仕事がしにくくなるかもしれない、評価に響くかもしれない、周りに知られるかもしれない。そう考えた人は、はっきり断らずに、あいまいに笑ってやり過ごすことがあります。誘った側がそれを「嫌がっていない」と受け取ると、すれ違いが始まります。
出会い系やアプリで知り合った相手なら、気が進まなければ返事をしなければ済みます。職場ではその選択肢が取りにくい。だからこそ、相手の沈黙や笑顔を、同意の印として読まないことが大切です。
合意があっても、立場の差があると話が変わる
同じ職場の中でも、相手との関係によって、気をつけることの重さは違います。
| 相手との関係 | 考えておきたいこと |
|---|---|
| 上司と部下 | 部下は評価や配置を上司に握られている。誘われて断れない、関係を終わらせたくても言い出せない、ということが起きやすい |
| 同じチームの同僚 | 毎日の仕事を一緒に回している。関係がこじれると、チーム全体の仕事に影響が出る |
| 別の部署の同僚 | 仕事の上の利害は少ないが、社内の人づてに話が広がりやすい |
| 取引先・派遣先の相手 | 契約や発注の力関係がある。会社どうしの関係にまで話が及ぶことがある |
特に、上司と部下の関係では、本人たちが合意していると思っていても、あとから「断れなかった」と言われる余地が残ります。関係が続いているあいだは問題にならなくても、終わったあとに、評価や異動の話と結びつけて受け取られることもあります。誘う側が上の立場にいるなら、その差がある限り、誘わないという判断も十分にありえます。
実態調査では、セクハラを経験した人の勤務先に多い特徴として、上司と部下のコミュニケーションが少ない、従業員どうしで冗談やからかいが日常的に見られる、従業員の年代に偏りがある、女性の管理職の割合が低い、といった点が挙がっています。くだけた冗談が飛び交う職場ほど、性的な話題への線引きがあいまいになりやすい、ということでもあります。自分の職場がそういう雰囲気なら、周りが笑って流している話題でも、言われた本人が同じように受け止めているとは限らない、と考えておくほうが安全です。冗談のつもりの一言が、関係を持つ前から相手との距離を決めてしまうこともあります。職場の誰かに好意を持ったときこそ、ふだんの言葉づかいを見直す機会にしてください。
インターンや新人は、断る力がいちばん弱い
立場の差がいちばん大きいのは、職場に来たばかりの人です。同じ実態調査では、2020〜2022年度に卒業して就職活動やインターンシップを経験した人にも話を聞いています。インターンシップ中にセクハラを受けたと答えた人は30.1%、インターンシップ以外の就職活動中に受けた人は31.9%で、どちらも前回の調査より増えていました。
インターンシップ中のセクハラの中身で多かったのは、「性的な冗談やからかい」の38.2%と、「食事やデートへの執拗な誘い」の35.1%です。誰から受けたかでは、「インターンシップで知り合った従業員」が47.4%で最も多く、「インターン先での上司・指導役」が32.0%でした。採用や評価に関わる立場の人からの誘いは、受ける側にとって断る自由がほとんどありません。
インターン生や新入社員、異動してきたばかりの人は、職場の人間関係も、誰に相談すればよいかも、まだ分かっていません。自分を評価する側の誘いを断ったらどうなるのか、という不安も強くなります。こうした相手を、職場の外の関係に誘うことは、本人にその気があるように見えても、避けるのが大人の判断です。
企業の側でも、線引きは簡単ではありません。同じ調査で、ハラスメント対策を進めるうえでの課題を企業に尋ねると、「ハラスメントかどうかの判断が難しい」が59.6%で最も多い答えでした。会社でさえ判断に迷う線を、当事者が自分に都合よく引いてしまうことは、珍しくありません。迷ったら、引くほうを選んでください。
受けた側には、何が残るか
同じ実態調査は、セクハラを受けたことで心や体にどんな影響があったかも尋ねています。セクハラを受けた503人のうち、「怒りや不満、不安などを感じた」人が48.5%、「仕事に対する意欲が減退した」人が33.0%、「職場でのコミュニケーションが減った」人が23.3%でした。「眠れなくなった」人も13.7%います。
影響は、受けた回数が増えるほど重くなります。一度だけ受けた人では、半数の50.0%が「特に影響はなかった」と答えていますが、何度も繰り返し受けた人では、「怒りや不満、不安などを感じた」が54.1%、「仕事に対する意欲が減退した」が42.1%、「眠れなくなった」が25.6%に上ります。「会社を休むことが増えた」「通院したり服薬をした」も、それぞれ12.8%でした。
職場で誰かを誘うとき、多くの人は「一度くらいなら」と考えます。けれども、断られたあとにもう一度、さらにもう一度と重ねるほど、相手の受ける重さは増していきます。一度の誘いと、繰り返しの誘いは、相手にとってまったく別のものです。断られたら引く、という一つの決めごとが、相手を守り、結果として自分も守ります。
会社がセクハラだと認めたあとの対応を尋ねた項目では、「会社として謝罪をした」と「行為者を処分した」が、どちらも19.4%で最も多い答えでした。職場の性的な言動が問題になれば、処分を受ける可能性がある、ということです。
誘う前に、相手が断れる状況かを見る
職場の相手に気持ちを伝えるなら、相手が気軽に断れる形にすることが、何よりの配慮です。具体的には、次のようなことです。
まず、仕事の場で誘わないこと。会議室や職場の席、仕事の連絡に使う社内チャットや業務用のメールでの誘いは、相手にとって逃げ場がありません。誘うなら、仕事が終わったあと、私的な連絡先で、相手が返事をしなくても困らない形にします。
次に、一度断られたら、もう誘わないこと。あいまいな返事も、断りと受け取るのが安全です。何度も誘ううちに相手が根負けして応じた、という形は、あとになって最も問題になりやすいものです。
そして、お酒の席の勢いで決めないこと。飲み会のあとに二人きりになる流れは、職場の関係で最も多いきっかけの一つですが、お酒が入った状態での「いいよ」は、翌朝になって本人の気持ちと食い違うことがあります。本当に互いに望んでいるなら、酔っていない日に、もう一度確かめても遅くはありません。
職場に知られるのは、たいてい小さなところから
職場の相手との関係は、本人たちが思っているより早く周りに気づかれます。きっかけは、たいてい小さなことです。同じ時間に退社する日が続く、会議中に目配せをする、社内チャットの雑談の調子が変わる、二人の話し方が急に親しげになる。会社の端末やアカウントでのやりとりは、会社が管理していることも多く、私的な話をするのには向きません。
写真や動画にも気をつけましょう。関係が終わったあと、撮った写真が職場で回ることほど、取り返しのつかないことはありません。撮影や画像のやりとりに関わる法律の線は、写真と動画の記事で詳しくまとめています。
また、会社によっては、就業規則に職場の秩序を乱す行為についての決まりを置いています。私生活の関係そのものを理由に処分されることは多くありませんが、業務中の行動や、関係がこじれたあとのトラブルが仕事に影響すれば、話は別です。自分の会社の就業規則に、どんなことが書かれているかは、一度目を通しておくとよいでしょう。
相手か自分に、家庭がある場合
職場の関係で特に慎重に考えたいのが、どちらかが結婚している場合です。職場は、配偶者に知られずに会える時間がある一方で、周りの人に配偶者のことを知られている場所でもあります。同僚の誰かが相手の配偶者と顔見知り、ということも珍しくありません。
関係が配偶者に知られた場合、民法の上でどんな責任が生じうるか、誰が誰に何を求められるかは、W不倫のリスクを整理した記事にまとめています。職場の関係では、その話し合いの場に会社が巻き込まれることもあります。相手が独身だと言っていても、確かめる手段が限られていることは覚えておきましょう。
続けているあいだの、職場でのふるまい
互いに望んで関係を始めたなら、続けているあいだの職場でのふるまいを、二人で決めておきましょう。決めておきたいのは、だいたい次のようなことです。
一つめは、連絡の手段です。仕事の連絡に使う社内チャットや業務用の携帯、会社のメールでは、私的なやりとりをしない。会社の端末は、会社が管理しているものだと考えておきます。私的な連絡は私的な端末で、仕事の時間中には送らない、と決めておくと、うっかり画面を見られる心配も減ります。
二つめは、職場での話し方です。関係が始まると、つい二人の会話が親しげになります。周りに気づかれたくないなら、職場ではこれまでどおりの言葉づかいと距離を保ちます。会議で相手の意見にだけ肩入れしたり、反対に意識しすぎて冷たくしたりするのも、周りには不自然に映ります。
三つめは、仕事の判断に関係を持ち込まないことです。相手の仕事を評価する立場にいるなら、なおさら気をつけなければなりません。仕事の割り振りや評価で相手を有利に扱えば、ほかの同僚から見て不公平になり、関係が知られたときに大きな問題になります。立場の上の側が、関係を続けるあいだは相手の評価に関わらないよう、自分から距離を取る工夫も必要です。
出張や泊まりがけの研修は、職場の関係が深まりやすい場面でもあります。旅先での振る舞いが、戻ったあとの職場に影響することもあるので、出張先での出会い方の記事も参考にしてください。
終わらせ方まで、最初に決めておく
職場の関係でいちばん難しいのは、終わらせるときです。どちらかが終わりにしたいと思ったとき、もう一方が受け入れられないと、職場での態度に表れます。終わったあとも誘い続けたり、仕事の場で冷たくしたり、ほかの同僚に関係を話したりすれば、それは職場の環境を害する行動になりかねません。
だからこそ、始める前に、終わり方について話しておくことが大切です。どちらかが終わりにしたいと言ったら、理由を問い詰めずに受け入れる。職場では今までどおりに接する。関係のことは誰にも話さない。そうした約束を、関係が始まる前の落ち着いたときにしておけば、終わるときの衝撃を小さくできます。関係の区切り方そのものについては、セフレの終わらせ方の記事も参考になります。
それでも、終わったあとに同じ職場にいるのがつらくなることはあります。異動や転職まで考えるほどになる前に、自分の気持ちを整理する時間を取りましょう。相手から関係の継続を迫られたり、職場で不利な扱いを受けたりしているなら、会社の相談窓口や、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談することができます。
誘われる側になったとき
ここまでは誘う側の話をしてきましたが、職場の誰かから誘われて困っている人もいるはずです。気が進まないなら、はっきり断ってかまいません。「仕事の相手とはそういう関係にならないと決めている」と、相手ではなく自分の決めごととして伝えると、角が立ちにくくなります。
断ったあとも誘いが続いたり、仕事の場で不利な扱いを受けたりするなら、いつ、どこで、何を言われたかを、日付と一緒に書き残しておきましょう。メッセージの画面も消さずに保存しておきます。実態調査で、企業がハラスメント対策として最も多く取り組んでいたのは「相談窓口の設置と周知」でした。勤め先に窓口があるなら、そこが最初の相談先になります。社内では話しにくい場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談することもできます。一人で我慢するより、記録を持って早めに相談したほうが、選べる道は多く残ります。相談したことで不利な扱いをすることも、男女雇用機会均等法で禁じられています。
仕事と私生活を、最初から分けておくという選び方
職場の相手との関係が難しいのは、私生活の関係が仕事の場に持ち込まれるからです。最初から職場の外で相手を探せば、終わったあとに毎日顔を合わせる心配はありません。セフレポで紹介しているリピアイとスグラブは、LINEで友だちに追加して始め、身分証で年齢を確かめてから相手と話すサービスです。相手のプロフィールと届いた文章は無料で読めて、送るときに1通30PTがかかります。はじめて登録した人には、130PT(1,300円分)がついています。
職場の関係を選ぶ人に、残しておきたいこと
職場で出会った相手と、互いに望んで関係を持つことは、それ自体が悪いことではありません。毎日の仕事の中で相手の人柄を知り、信頼できると思えたからこそ、という関係もあります。ただ、その関係は、職場という、自分たち二人だけのものではない場所の上に成り立っています。
相手が断れる立場にいるか。断られたら引けるか。周りに知られたときに、仕事を続けられるか。終わったときに、今までどおりに接することができるか。この四つに、自分の言葉で答えられるなら、その関係はきっと大人どうしのものとして続けられるはずです。どれか一つでも答えに詰まるなら、仕事と私生活を分けて相手を探す道もあることを、思い出してください。
この記事の数字は、厚生労働省「令和6年度 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)における法施行状況」、および厚生労働省委託事業「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」(2024年5月17日公表)にもとづきます。法律の説明は一般的な内容で、個別の事案の判断は、相談窓口や専門家に確認してください。


