愛媛県は、地元の人が「東予」「中予」「南予」と呼び分ける三つの地域からできています。今治市や新居浜市のある東予、県庁所在地の松山市を中心とする中予、宇和島市のある南予です。同じ愛媛でも、この三つは暮らしの向きも、人口の動きもかなり違います。相手がどの「予」に住んでいるかで、会い方は大きく変わります。
この記事では、総務省統計局が2026年9月29日に公表した令和7年国勢調査の確定値、令和2年国勢調査の通勤・通学の集計、鉄道会社や松山市の発表などをもとに、愛媛で相手を探すときに知っておきたいことを整理しました。松山の夜の街や道後温泉の話も、数字とあわせて見ていきます。
三つの「予」で、人口の減り方がまったく違う
令和7年国勢調査の確定値で、令和7年10月1日現在の県の人口は1,259,907人でした。5年前より74,934人、率にして5.61%減っています。県が春にまとめた集計でも、この減り方は大正9年に調査が始まってから最も大きいものとされていました。世帯の数も594,867世帯と、5年前より6,535世帯減りました。県のまとめでは、世帯数が減ったのは調査が始まって以来初めてです。1世帯あたりの人数は約2.12人になりました。
地域ごとに見ると、減り方の差がはっきりします。
| 地域 | 5年間の人口の減少率(令和2年→7年) |
|---|---|
| 東予 | 6.49%減(今治市・新居浜市・西条市・四国中央市・上島町) |
| 中予 | 3.07%減(松山市・伊予市・東温市・久万高原町・松前町・砥部町) |
| 南予 | 10.79%減(宇和島市・八幡浜市・大洲市・西予市など) |
松山市を含む中予の減り方がいちばん小さく、南予では10%を超えています。市町別では、伊方町が15.72%減、久万高原町が15.05%減、愛南町が12.91%減と、南予や山あいの町ほど人が減っています。県内の20市町すべてで人口が減り、増えた市町は一つもありませんでした。
出会いの場で言えば、愛媛で近くに住む相手を探すと、その多くは松山市とその周りに集まっているということです。南予に住んでいる人が近くで相手を探すのは、人数の面で難しくなりつつあります。南予に住むなら、松山まで出ることを前提に考えるか、宇和島や八幡浜など生活圏の中心で会う場所を決めておくほうが、話が進みます。
松山市に、県民の4割が住んでいる
市町ごとの人口では、松山市が497,067人で最も多く、県の人口の39.5%を占めます。二番目の今治市は141,567人、三番目の新居浜市は108,648人で、人口10万人を超えるのはこの三市だけです。松山市の人口も5年で14,125人減りましたが、四国で最も人口の多い市であることに変わりはありません。
松山市の周りには、東温市や松前町、砥部町、伊予市といった町が並びます。どれも松山市へ通う人の多い、中予の住宅地です。松山の中心で働き、住まいは周りの町にある、という人は少なくありません。相手の住む町と、職場のある場所の両方を聞くと、会いやすい場所が見えてきます。
東予の今治や新居浜、西条は、松山とは別の生活圏を持つ工業の街です。今治は造船やタオル、新居浜は化学や機械の工場で知られます。こうした街に住む人は、ふだんの買い物や遊びも地元で済ませることが多く、松山まで出てくるのは週末や特別な用事のときになりがちです。
南予の中心は、人口の最も多い宇和島市と、八幡浜市や大洲市です。どの街も5年で人口が大きく減っていて、近くに住む相手の数は限られます。南予の人と知り合った場合は、相手が松山まで出てくるのか、自分が南予へ向かうのかを最初に話し合うことになります。どちらにしても移動に時間がかかるので、会う日を早めに決めておくほうが、お互いの予定を合わせやすくなります。
しまなみ海道でつながる、今治と広島
東予の今治は、瀬戸内しまなみ海道で広島県の尾道とつながっています。しまなみ海道は1999年5月1日に開通した道路で、尾道から今治までの全長はおよそ60キロです。島々を橋で結ぶこの道には自転車の道も整えられ、サイクリングで訪れる人も多くいます。
今治に住む人にとって、広島県の尾道や福山は、松山とは別の方向にある身近な街です。車でしまなみ海道を渡れば、県をまたいで会うことも難しくありません。今治の相手と知り合ったら、松山で会うか、今治で会うか、それとも橋を渡った広島側で会うかを、最初に話しておくと選択肢が広がります。
ただし、橋を渡る道路は有料で、島を一つずつ越えていく道のりには時間もかかります。気軽に行き来できる距離かどうかは、相手の住む場所と移動の手段によって変わります。会う場所を決めるときは、どちらが移動するのか、帰りに何時までに出れば間に合うのかも、あわせて決めておくと安心です。
県外へ通う人は、わずか0.6%
令和2年国勢調査の集計では、愛媛県に住んで県外へ通勤・通学している人は7,882人で、県の人口の0.6%でした。隣の香川県は1.1%、大都市の隣にある滋賀県は7.1%です。愛媛の人は、ほとんどが県の中で働き、県の中で暮らしています。昼と夜の人口の比率も100.1で、県外への人の出入りはほとんど差がありません。
これには、地理的な理由もあります。愛媛から本州の大きな街へ出るには、しまなみ海道や瀬戸大橋を渡る必要があり、毎日通うには距離があります。松山から岡山までは、JRの特急しおかぜで約2時間40分かかります。
一方で、県を出ていく人は増えています。総務省の住民基本台帳人口移動報告をもとにした報道によると、2025年の愛媛県は、県外へ出ていった人が県外から入ってきた人を上回る「転出超過」が、2年続けて5,000人を超えました。四国の4県はいずれも転出超過でしたが、その数が前の年より増えたのは愛媛県だけでした。出ていく人がいる一方で、県内で働く人は、県の外へ通うことなく暮らしているということです。
出会いの場で知り合う相手も、多くは県内で生活が完結している人です。狭い範囲で暮らしている分、知り合いに会う心配は大きくなります。松山の中心で会うなら、人の多い場所と、落ち着いて話せる場所を使い分けることが大切です。
松山の夜は、L字のアーケードと二番町・三番町
松山の繁華街の中心は、伊予鉄道の松山市駅から松山城のロープウェイ乗り場まで、L字形に延びるアーケードです。松山市駅から東へ延びるのが銀天街で、全長はおよそ600メートルあります。その先で北へ折れるのが大街道で、全長483メートルの南北のアーケードです。二つをつなげると、雨の日でも濡れずに長い距離を歩けます。
大街道の北の端は、松山城へ上るロープウェイの乗り場のある通りにつながっています。昼間は観光客が多く行き交うあたりですが、夜になると大街道の周りの飲み屋街へ人の流れが移ります。昼に会うなら城の周りやロープウェイ街の喫茶店、夜に会うなら大街道の周り、と時間帯で使い分けると、同じ中心部でも雰囲気の違う場所を選べます。
夜に人が集まるのは、大街道の周りです。大街道のそばには二番町や三番町といった飲み屋街があり、居酒屋やバー、スナックが夜遅くまで開いています。大街道のアーケードから一本入るだけで、雰囲気ががらりと変わる街です。
待ち合わせの場所としては、アーケードの中の分かりやすい店の前や、伊予鉄の市内電車の大街道電停が使いやすいでしょう。ただ、松山の中心は歩いて回れる広さなので、知り合いに会う可能性もそれだけ高くなります。人目が気になるなら、アーケードの中より、少し外れた落ち着いた店を選ぶほうが安心です。
「松山駅」と「松山市駅」は、別の駅
松山で待ち合わせをするときに気をつけたいのが、駅の名前です。JR四国の「松山駅」と、伊予鉄道の「松山市駅」は、名前が似ていますが別の駅で、1.5キロほど離れています。繁華街に近いのは松山市駅のほうで、銀天街はここから始まります。
JR松山駅は、2024年9月29日に高架の新しい駅舎に生まれ変わりました。駅の周りの線路およそ2.4キロを高架にする工事が終わり、高架下には飲食店や土産物の店が入る「だんだん通り」ができています。特急で県外や東予、南予から来る人は、この新しい駅に着きます。
相手がJRで来るなら松山駅、伊予鉄の郊外電車やバスで来るなら松山市駅、と考えると迷いません。二つの駅のあいだは、伊予鉄の市内電車で移動できます。初めて会う約束では「松山駅」とだけ言わずに、「JRの松山駅」「伊予鉄の松山市駅」のように会社名まで伝えておきましょう。
松山市駅から延びる、三つの郊外電車
中予の暮らしを支えているのが、伊予鉄道の郊外電車です。郊外電車には三つの路線があり、どれも松山市駅から出ています。北西の港町、高浜まで延びる高浜線はおよそ9.4キロ。東の東温市の横河原まで延びる横河原線はおよそ13.2キロ。南西の伊予市の郡中港まで延びる郡中線はおよそ11.3キロです。高浜線と横河原線は、多くの電車が松山市駅を通り抜けて直通しています。
この三つの路線の沿線には、松山の中心へ通う人の住む街が並んでいます。東温市や伊予市、松前町に住む人は、郊外電車で松山市駅に出てきて、そこから銀天街や大街道へ歩いていきます。つまり、中予の周りの町に住む相手と会うなら、松山市駅がいちばん分かりやすい待ち合わせの場所になります。
反対に、JR松山駅を使うのは、予讃線で東予や南予から来る人、特急で県外から来る人です。相手がどの電車で来るかを聞けば、どちらの駅で会うべきかが自然に決まります。郊外電車の沿線の人なら松山市駅、JRの沿線の人なら松山駅、と覚えておくと便利です。
道後温泉までは、市内電車で12分
松山の中心から少し離れた場所に、道後温泉があります。大街道の電停から道後温泉までは、伊予鉄の市内電車で12分ほどです。国の重要文化財で、今も入浴できる建物として知られる道後温泉本館は、5年半にわたる保存修理の工事を終え、2024年7月11日に全館での営業を再開しました。
道後温泉の周りは、観光客の多い温泉街です。地元の人にとっては、観光の場所というより、少し足を延ばして出かける場所という位置づけでしょう。建物の外観を眺めながら温泉街を歩くだけでも、会話のきっかけになります。県外から来た相手を案内するなら道後、地元の相手と落ち着いて会うなら中心部の店、と使い分けることができます。
道後で会う場合は、帰りの電車の時間に注意が必要です。市内電車の最終は、夜遅くまで走っているわけではありません。温泉街で遅くまで過ごすなら、帰りの手段を先に決めておくと安心です。
空の玄関口と、600万人の観光客
愛媛に県外から来る人の多くは、飛行機を使います。地元の新聞の報道によると、松山空港の2024年度の利用者は307万443人で、前の年度より9.8%増えました。国際線は32万3,312人と、これまでで最も多くなっています。空港全体では、2018年度の312万4,467人にわずかに届きませんでしたが、それに近い水準まで戻りました。
観光で松山を訪れる人も増えています。同じく報道によると、松山市の2024年の観光客は600万3,900人で、前の年より8.1%増えました。そのうち外国人は53万5,300人と、前の年の約2.5倍で過去最多です。
こうした数字は、出会いの場にも表れます。松山の中心や道後の周りでは、出張や旅行で来ている人と知り合うこともあるでしょう。短い滞在の相手とは、次に会える日の見通しが立ちにくいものです。続く関係を望むなら、相手が愛媛に住んでいるのか、一時的に来ているのかを早めに確かめておくと、行き違いが起きません。
空港から松山の中心までは、リムジンバスが出ています。県外から飛行機で来る相手と会うなら、バスの着く松山市駅やJR松山駅の周りで会うと、相手も迷わずに済みます。
車の相手と、四国の中の距離
愛媛は、四国の中では高知と並んで車の少ない県です。自動車検査登録情報協会の集計では、令和7年3月末の愛媛県の自家用乗用車は741,991台で、1世帯あたり1.129台でした。高知県も同じ1.129台で、香川県の1.311台と比べると少なく、松山の中心部では、市内電車やバスで動く人も多いことがわかります。ただし、東予や南予、松山の郊外に住む人は、ふだん車で動いていることがほとんどです。
四国のほかの県の相手と知り合うこともあるでしょう。松山から高松までは、JRの特急いしづちで約2時間半かかります。岡山までは特急しおかぜで約2時間40分です。どちらも日帰りで会える距離ですが、仕事のあとに気軽に会うのは難しい距離です。四国の中で相手を探すなら、県の名前より、特急で何時間かかるかで考えるほうが現実に合っています。
香川の事情は香川の記事に、高知や四国全体のことは高知・四国の記事に、しまなみ海道の先の広島については広島の記事にまとめています。
愛媛で会う前に出てくる、三つの迷い
松山の中心で会うと、知り合いに見られないか
松山の中心は、銀天街から大街道まで歩いて回れる広さです。人の多いアーケードの中より、一本入った通りの店や、郊外電車で少し離れた駅の周りを選ぶと、人目を気にせず話せます。相手が東温市や伊予市に住んでいるなら、その沿線の駅の周りで会うのも一つの方法です。
東予や南予の相手とは、どこで会えばいい
今治や新居浜、宇和島から松山までは、JRの特急でも時間がかかります。仕事のあとに会うなら、相手の住む街の中心で会うほうが無理がありません。松山で会うなら、週末や休みの日に時間をとって、帰りの特急の時間を先に確かめておきます。
県外から来る相手には、どこを案内すればいい
飛行機で来る相手なら、空港からのバスが着く松山市駅やJR松山駅の周りが分かりやすい場所です。時間があれば、市内電車で道後温泉まで足を延ばすこともできます。短い滞在の相手なら、次にいつ愛媛に来るのかも、早めに聞いておくとよいでしょう。
愛媛で相手を探した人から聞かれる声(よくある声の再構成)
※以下は、愛媛で相手を探した人から聞かれがちな声を、要点が伝わるよう編集部で組み立て直したものです。特定の個人の投稿ではありません。
愛媛県・松山市/30代・会社員★★★★★
「松山駅で」と伝えたら、相手は伊予鉄の松山市駅にいた。市内電車で来てもらって会えたけれど、次からは会社名まで言うようにしている。
愛媛県・東温市/40代・公務員★★★★★
アーケードの中は知り合いに会いそうなので、大街道から一本入った静かな店にした。同じ中心部でも、少し外れるだけで落ち着いて話せた。
愛媛県・今治市/30代・技術職★★★★★
仕事のあとに松山まで出るのは大変なので、会うのは週末と決めた。今治の中で会える相手も探して、無理のない範囲で続けている。
愛媛県・松山市/40代・自営業★★★★★
相手は出張で来ていた人。道後温泉を案内したら喜んでくれた。帰りの電車の時間を先に確かめておいたので、慌てずに済んだ。
愛媛県・宇和島市/40代・パート★★★★★
近くでは相手が見つからないので、月に一度、松山に出る日を決めて会うようにした。買い物のついでに会えるので、家族にも説明しやすい。
愛媛県・伊予市/30代・会社員★★★★★
相手はJRで来る人だったので、新しくなった松山駅の高架下で待ち合わせた。店が入って明るくなったので、待つのも気楽だった。
愛媛県・松前町/30代・看護師★★★★★
夜勤明けに中心部まで出るのは疲れるので、相手と相談して郡中線の沿線の駅の近くで会った。人目も少なく、帰りも楽だった。
愛媛で会う前に、確かめておくこと
- 相手は東予・中予・南予のどこに住んでいるか(住む地域で会いやすい場所が変わる)
- 「JRの松山駅」か「伊予鉄の松山市駅」か、会社名まで伝えたか
- 夜に会うなら大街道の周り、落ち着いて話すなら中心から少し外れた店、と決めたか
- 相手は車か、電車やバスか(車なら停める場所、電車なら帰りの最終)
- 道後温泉で会うなら、帰りの市内電車の時間を確かめたか
- 県外や四国の他県の相手なら、どちらが移動するか、特急で何時間かかるかを話したか
愛媛は、県外へ通う人が少なく、県の中で暮らしが完結している県です。その一方で、三つの「予」はそれぞれ違う顔を持ち、松山の中にも二つの中心駅があります。相手の住む地域と、ふだんの移動の手段を最初に聞いておくだけで、会う約束はずっと組みやすくなります。ほかの地域の事情は地域別の出会いのまとめで探せます。
※本記事は18歳以上の成人を対象にしています。人口は令和7年国勢調査の確定値(総務省統計局・2026年9月29日公表)と愛媛県の地方集計結果(2026年4月28日公表)、通勤・通学と昼夜間人口比率は令和2年国勢調査の集計、自家用乗用車の台数は自動車検査登録情報協会の集計、鉄道の所要時間は2026年9月時点の目安、施設の開業・再開の日付は各事業者や松山市の発表、空港の利用者数と観光客数は地元紙の報道にもとづき、2026年9月30日(人口は10月6日)に確認したものです。


