出会いにお金がかけられない、と感じたとき、多くの人は「どこなら安く済むか」から探し始めます。無料のアプリ、無料の掲示板、無料のイベント。けれど、先に決めておいたほうがよいのは、どこを使うかより、自分が1か月にいくらまでなら気持ちよく出せるのか、という線のほうです。その線が決まっていないと、無料をうたう場所でも結局は何かにお金を払い、払ったあとで後悔することになります。
この記事では、国税庁の「民間給与実態統計調査」(令和6年分)と、SBI新生銀行の「2024年会社員のお小遣い調査」という二つの数字を手がかりに、働く男性が出会いに回せるお金の幅を考えます。そのうえで、お金をかけなくても済む場面と、どうしてもかかる場面を分け、予算の線の引き方と、お金の話で関係を壊さないための考え方をまとめました。
給料の数字から:男性でいちばん多いのは、年400万円台
国税庁の民間給与実態統計調査は、民間の事業所で働く人の1年間の給与を、毎年まとめている国の基幹統計です。令和6年分の結果によると、1年を通じて勤務した給与所得者は5,137万人で、その平均給与は478万円でした。前の年より3.9%増えています。男女別では、男性が587万円(前年より3.2%増)、女性が333万円(同5.5%増)です。
ただし、平均の数字は、一部の高い給与に引っ張られます。同じ調査で、男性の給与を金額の幅ごとに分けると、いちばん人数が多いのは年400万円を超えて500万円以下の層で、男性全体の16.9%でした。次に多いのが500万円を超えて600万円以下の層で、14.7%です。平均の587万円より下の層に、いちばん多くの人がいるということです。
| 令和6年分の区分 | 平均給与など |
|---|---|
| 1年を通じて勤務した人全体 | 478万円(前年比3.9%増) |
| 男性 | 587万円(同3.2%増) |
| 女性 | 333万円(同5.5%増) |
| 正社員(正職員) | 545万円 |
| 正社員(正職員)以外 | 206万円 |
| 男性で最も多い給与の幅 | 400万円超〜500万円以下(16.9%) |
年齢でも差があります。男性は60歳になるまで、年齢が上がるほど平均給与が高くなり、55〜59歳の層の735万円がいちばん高いと報告されています。女性は年齢による差があまり大きくありません。正社員と正社員以外の差も大きく、正社員以外の平均は206万円でした。
相手になる女性の側の数字も見ておきます。同じ調査で、女性の給与をいちばん多くの人が受け取っている幅は、年200万円を超えて300万円以下で、女性全体の19.0%でした。次に多いのが300万円を超えて400万円以下の層で、18.5%です。給与の幅で見ると、男女の差は平均の数字以上にはっきりしています。割り勘にするか、どちらが多めに出すかは、こうした事情も頭の片隅に置いたうえで、その場で無理のない形を相談すればよいことです。どちらか一方が毎回無理をする形にしないことが、気軽な関係を続けるための前提になります。
こうして並べると、「周りはもっともらっている」という感覚は、平均の数字を基準にしているから生まれやすいことが分かります。20代や30代前半で、年400万円前後の給与の人は、男性のなかでごく普通の位置にいます。出会いにお金をかけられないと感じるのは、収入が特別に少ないからではなく、使い道の多い年代だから、という面のほうが大きいはずです。
自由に使えるお金:未婚の男性会社員は、月4万5千円台
給料の額より、出会いに直接かかわるのは、毎月自由に使えるお金のほうです。SBI新生銀行が2024年4月にインターネットで行った「2024年会社員のお小遣い調査」(20代から50代の有職者2,718人)によると、男性会社員の1か月のお小遣いの平均は3万9千円台でした。前の年は4万円台だったので、千五百円ほど下がっています。
同じ調査で、ライフステージ別に見ると、未婚の男性会社員のお小遣いがいちばん高く、月4万5千円台でした。子どもがいる世帯では3万1千円台から3万3千円台と、目に見えて少なくなります。年代別では50代が最も高い4万3千円台で、20代と40代は前の年より大きく減ったと書かれています。この1年でお小遣いが「ダウンした」という男性会社員は10.4%で、「アップした」の8.9%を上回りました。
物価の影響も数字に出ています。物価高の負担を感じている男性会社員は82.4%で、支出を減らしている費用として挙がったのは、食費に続いて外食費が29.0%、娯楽・レジャー費が26.1%でした。人と会うことに直結する外食と遊びの費用から、先に削られているということです。
飲み代と遊びのお金は、すでに使っている
この調査には、出会いの予算を考えるうえで参考になる数字がもう二つあります。一つは、男性会社員の1か月の外での飲み代で、1万3千円台でした。もう一つは、お小遣いの使いみちとして欠かせないものを聞いた質問で、男性が挙げた項目のうち、必要な額が最も大きかったのは「遊興費」の1万5千円ほどでした。
つまり、多くの男性はすでに、誰かと飲んだり遊んだりするためのお金を、毎月そのくらい使っています。出会いの予算を新しく作ろうとすると苦しくなりますが、今の飲み代や遊びのお金の一部を、出会いのほうへ回すと考えれば、無理のない額が見えてきます。
女性の自由なお金も、20代では男性とほぼ同じ
同じ調査では、女性会社員のお小遣いの平均は3万4千円台で、男性との差は月4千円ほどでした。年代別に見ると、女性は20代がいちばん高い4万円台で、男性会社員の20代の平均とほぼ同じ水準だと報告されています。女性の欠かせない使いみちで、必要な額が最も大きかったのは飲み代の1万1千円台でした。
この数字から言えるのは、とくに若い世代では、自由に使えるお金に男女の差がほとんどないということです。会うたびに男性がすべて払うことを前提にしなくても、割り勘や、1軒目と2軒目で交互に払う形は、十分に自然な選択です。最初に会うときに「今日は割り勘でいい?」と軽く聞ける関係のほうが、お互いに気を使わずに次の約束をしやすくなります。
出会いにかかるお金は、「先に払う」か「使った分だけ」か
ネットの出会いにかかるお金は、大きく二つの形に分かれます。恋活・婚活のマッチングアプリに多いのは、男性が有料会員になると決まった期間メッセージを送り放題になる、月額制です。出会い系に多いのは、メッセージを送ったり画像を見たりするたびにポイントが減る、ポイント制です。
お金に余裕がないときに気をつけたいのは、それぞれの「やめ忘れ」の形です。月額制は、使わなかった月にも自動で更新されて払い続けることがあります。ポイント制は、つい送りすぎて、思っていたより早くポイントが減ることがあります。どちらが安いかは、使い方次第で変わるので、一概には言えません。大事なのは、自分が使う形のお金の減り方を、始める前に知っておくことです。料金表の読み方は出会い系の料金とポイントの仕組みで、最初の1か月の区切り方は出会い系の始め方で詳しく書いています。
月額制なら、払う額が先に決まるぶん、予算の管理はしやすくなります。そのかわり、忙しくて使えない月があると、その月の分はそのまま消えます。ポイント制は、送った分だけ減るので、忙しい月は減らず、時間のある月にまとめて使えます。残業が多く、使える日が月によってばらつく人には、ポイント制のほうが無駄が出にくいこともあります。
「無料」をうたう場所で、先に確かめておくこと
お金をかけたくないとき、まず目に入るのは「完全無料」「男性も無料」をうたうアプリや掲示板です。実際、無料で使えるマッチングアプリを並べたランキング記事は、検索するといくつも見つかります。無料で使えること自体は悪いことではありません。ただ、お金を払わない場所ほど、先に確かめておきたいことがあります。
一つは、運営がきちんと届出をしているかどうかです。ネットで異性と知り合うサービスを運営するには、法律にもとづく届出が必要で、多くのサービスはページの下のほうに受理番号を載せています。もう一つは、年齢の確認があるかどうかです。年齢確認のない場所では、相手が18歳以上かどうかを自分で確かめる手段がありません。どちらも、無料かどうかとは関係なく、使い始める前に見ておく場所です。
そしてもう一つ、無料の場所でかかるのは、お金のかわりの時間です。返事の来ない相手に送り続けたり、目的の違う相手と何日もやり取りしたりする時間は、忙しい人にとってはお金と同じくらい貴重です。月に数千円を節約するために、毎晩1時間を使い続けるなら、それは本当に安いのかどうか。お金と時間の両方で考えると、自分に合う場所が選びやすくなります。
お金をかけなくて済む場面と、かかる場面を分ける
出会いにかかるお金を、場面ごとに分けて考えてみます。かけなくて済む場面と、かかる場面がはっきりすると、どこを削り、どこには使うかが決めやすくなります。
会う前のやり取りには、お金より言葉を使う
やり取りの段階で必要なのは、お金より、相手が返したくなる言葉です。何通も送るほど近づけるわけではありません。相手のプロフィールに書かれたことに一言ふれて、答えやすい質問を一つ添える。短い一通を丁寧に送るほうが、長い文を何通も送るより返事が来やすく、結果としてお金もかかりません。返事の来なかった相手に、同じ文を送り直すのもやめておきます。
最初に会う場所は、店の格より時間の短さで選ぶ
初めて会う日に、高い店を選ぶ必要はありません。むしろ、最初は1時間ほどで切り上げられるカフェや、駅の近くの気軽な店のほうが、相手も身構えずに来られます。仕事帰りの平日の夜に、1軒だけ寄って解散する。それなら飲み代1回分の範囲に収まりますし、相手にとっても予定を空けやすい形です。会う時間の作り方は忙しくて会う時間がない大人へでも触れています。
関係が進んでからは、場所代が一番大きい
関係が深まると、いちばん大きくかかるのは、二人きりになれる場所のお金です。ここを毎回自分だけで払うつもりでいると、予算はすぐに足りなくなります。最初から無理のない頻度にしておくこと、平日の昼の時間帯を使うなど、場所の選び方で負担を軽くすることが、続けるための現実的な工夫です。ホテルの選び方や使い方はラブホテルの使い方にまとめています。
収入を大きく見せない、お金で気を引かない
お金に余裕がないときほど、プロフィールで収入を実際より多く見せたくなるかもしれません。けれど、最初に盛った数字は、会ったあとで必ず食い違いになります。店の選び方や、帰りの交通手段や、何気ない会話のなかで、相手は案外よく見ています。あとで気まずくなるくらいなら、最初から正直に書いておいたほうが、長く続く相手に出会えます。
もう一つ避けたいのは、お金や贈り物で相手の気を引こうとすることです。最初に「食事はすべてこちらが出す」「プレゼントを用意する」と約束すると、その関係はお金の続く限りの関係になります。会うたびにお金を渡す形は、気軽な大人の付き合いとは別のものです。その違いと危うさは割り切りの関係について書いた記事で整理しています。お金のやり取りをはさまないほうが、お互いに気が楽で、関係も長持ちします。
使った分だけ減る形で、まず月の上限を決めて試す
出会いにかけるお金を、今の飲み代の一部から回すなら、使った分だけ減る形のほうが上限を守りやすくなります。リピアイとスグラブは、LINEの友だち追加から始めて、身分証による年齢の確認を済ませれば使える出会いのサービスです。相手の紹介文を見たり、届いた文章を読んだりするのは無料で、自分から送るときにだけメッセージ1通=30PTが減ります。新規登録で1,300円分(130PT)が無料で付くので、最初は追加で払わずに、自分に合うかどうかを確かめられます。
毎日の小さな出費を、月に一度の約束に置き換える
お小遣いの調査には、毎日の出費についての数字も載っています。男性会社員の1日の昼食代は、2010年の調査開始以来はじめて七百円台に上がりました。その一方で、昼食をどうしているかでいちばん多かったのは持参の弁当で、男性の36.7%、女性の53.5%でした。お小遣いの使いみちとして欠かせないものを聞いた質問でも、男性の42.2%が昼食代を挙げていて、二番目以下を大きく引き離しています。
ここから見えてくるのは、自由に使えるお金の多くが、昼食や携帯電話代のような毎日の決まった支出で埋まっているという姿です。出会いに回すお金を作るとき、大きな買い物をあきらめるより、こうした毎日の小さな出費を少しずつ置き換えるほうが、暮らしの満足度は下がりにくくなります。週に何回か弁当にする、なんとなく寄っていたコンビニを減らす。そうして浮いた分を、月に一度、誰かと会う日の予算に回す。毎日の小さな出費が、月に一度の楽しみに変わると考えれば、節約もつらいものではなくなります。
年代による違いにも目を向けておきます。お小遣いが最も多いのは50代ですが、物価高の負担を感じる人の割合は、男女とも年代が高いほど大きくなると報告されています。家族の支出を抱える年代ほど、自由なお金はあっても気持ちの余裕は少ない、ということです。年齢が上がるほど、出会いの予算は額の大きさより、無理なく続けられるかどうかで決めたほうが長続きします。
予算の線は、「今の飲み代の何割を回すか」で引く
では、実際に予算の線をどう引けばよいか。いちばん分かりやすいのは、新しい予算を作るのではなく、今すでに使っているお金の何割を出会いに回すかで決める方法です。お小遣い調査の数字を借りれば、男性会社員の外での飲み代は月1万3千円台、遊興費は1万5千円ほどでした。自分の先月の飲み代や遊びのお金を思い出して、そのうちの何割なら、なくなっても困らないかを考えます。
決めた額は、月の初めに分けておきます。月額制のサービスなら、その額に収まるプランを選び、更新日を手帳に書いておく。ポイント制のサービスなら、その額で買えるポイントの範囲で、1週目に送る人数と通数を決めておく。会う日の飲み代も、同じ予算の中に入れて考えます。こうしておけば、出会いのために、ほかの生活を削りすぎることはありません。
1か月たったら、使った額と、続いている相手の数を並べてみます。予算の中で、続けたいと思える相手が一人でもいれば、その線は間違っていません。誰ともつながらなかったなら、額を増やす前に、使っている場所が自分の目的と合っているか、送っている文面が相手に届く形になっているかを見直します。お金を増やすのは、そのあとで十分です。
お金の頼みごとが出てきたら、そこで一度止まる
最後に、お金に余裕がない人ほど気をつけたい場面があります。やり取りの途中で、相手のほうからお金の話が出てくる場面です。「急に支払いが必要になった」「投資で増やせる方法がある」「受け取るために手数料がかかる」。こうした話は、相手が誰であっても、そこで一度立ち止まる合図です。
手元のお金が少ないときほど、「増やせる」「もらえる」という話は魅力的に聞こえます。けれど、知り合って間もない相手とのあいだで、先にこちらがお金を出す流れになったら、その順番はおかしいと考えてください。ネットで知り合った相手からの投資や送金の誘いについては、サクラ・業者の見分け方で、警察庁などの公的な数字とあわせて詳しく書いています。お金に困っているときこそ、出会いの場でお金を動かさないことが、自分を守るいちばん確かな方法です。
お金が少ないことは、出会えない理由にはならない
年400万円台の給与と、月4万円ほどの自由なお金。これは、働く男性のなかでごく普通の数字です。その範囲で出会いを探している人は、決して少なくありません。足りないと感じるのは、どこにいくら使うかが決まっていないからで、額そのものが小さすぎるからではないことが多いのです。給与もお小遣いも、平均の数字と自分の数字を比べて落ち込むより、自分の数字の中で何を優先するかを決めるほうが、ずっと役に立ちます。
最初に予算の線を引き、やり取りにはお金より言葉を使い、会う場所は短く気軽な店から選ぶ。収入を大きく見せず、お金で気を引かず、相手からお金の話が出たら止まる。そうして選んだ相手とは、お金のあるなしに左右されない関係を作りやすくなります。財布の中身より先に、自分が何を求めていて、そのためにいくらまでなら気持ちよく使えるのか。それを決めておくことが、余裕のないときの出会いを長続きさせるいちばんの近道です。
出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」(調査結果の概要・年齢階層別の平均給与・給与階級別分布)、SBI新生銀行「2024年会社員のお小遣い調査」(2024年6月28日公表・調査期間2024年4月12日〜15日・インターネット調査・2,718人)。いずれも2026年11月5日に公開資料を確認しました。本記事は18歳以上の成人を対象にしています。


